2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16380069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 徹 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (70182821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 俊一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60263406)
池田 素子 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (20262892)
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Keywords | D-アミノ酸 / D-セリン / セリンラセマーゼ / D-セリンデヒドラターゼ / D-アミノ酸オキシダーゼ / カイコ / 細胞性粘菌 |
Research Abstract |
D-セリンが、脳内NMDAレセプターのコアゴニストとして働くことが発見されて以来、真核生物におけるD-アミノ酸の機能が注目されている。これまでに、D-アスパラギン酸によるホルモンの分泌制御やテストステロンの合成促進などが報告され七いるが、その分子レベルでの機作は不分明の状況にある。一方、D-アミノ酸の機能解明の鍵となる生合成経路については、D-セリン合成に関わる動物型セリンラセマーゼが報告されているのみである。本研究では、真核生物におけるD-アミノ酸生合成経路解明を目的とし、カイコ蛹のセリンラセマーゼ精製、細胞性粘菌の動物型セリンラセマーゼの酵素学的解析、D-アミノ酸生合成酵素遺伝子のファンクショナルクローニング系の構築を試みた。カイコセリンラセマーゼの精製では、D-セリンデヒドラターゼを用いる新しい酵素アッセイ法の開発により約3000倍までの精製を可能とした。また細胞性粘菌に哺乳動物と40%近い相同性を有するセリンラセマーゼの存在を明らかにし、既知の動物型セリンラセマーゼとは異なり金属に依存性を示さない酵素の性質を明ちかにした。一方、アラニンラセマーゼとグルタミン酸ラセマーゼの両遺伝子を破壊し、D-アラニン、D-グルタミン酸依存性としたE.coliに、基質特異性が広いBacillus sp.YM-1のアミノ酸トランスアミナーゼ遺伝子を導入し、菌体内でD-アミノ酸が生成した場合には、トランスアミナーゼ反応により両D-アミノ酸を生合成できるD-アミノ酸生合成酵素遺伝子のファンクショナルクローニング用宿主の構築を試みた。しかし、宿主菌体はD-アミノ酸トランスアミナーゼ遺伝子を導入した時点でD-アラニン、D-グルタミン酸非依存的となり、このことから、E.coliには未知のD-アミノ酸生合成系が存在することが推測された。
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Research Products
(4 results)