2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性機能成分の単分散マイクロ/ナノスフィア化による安定性及び吸収性の向上
Project/Area Number |
16380082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 和夫 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (10182015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 雅史 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (10241374)
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Keywords | マイクロ / ナノスフィア / 機能性脂質 / DHA・EPA / 酸化防止 / 界面 / NMR / 立体構造 / 粒子径 |
Research Abstract |
マイクロチャネルを用いることにより、マイクロレベルで粒子径の整ったエマルション粒子(マイクロ/ナノスフィア)を作成した。これを用いて、エマルション系におけるDHAやEPAなどの機能性脂質の酸化安定性に及ぼす脂質分散粒子の粒径の影響を検討した。その結果、エマルション中では、リノール酸を主体とする大豆油では粒子径が大きいほど酸化されにくくなることが分かった。エマルション中での酸化は主として水中に存在する各種フリーラジカルが界面の脂質を攻撃することにより進行するため、粒子径がより大きく、すなわち、単位脂質重量あたりの界面の表面積がより小さくなるほどフリーラジカルと接触する機会も小さくなり、その結果、酸化安定性が向上したものと考えられた。一方、DHAやEPA含有油(魚油)では、粒子径の小さいほど酸化安定性が逆に向上する傾向が見られた。例えば、マイクロチャネルにより作製した粒子径が異なる(6〜40μm)大豆油とDHA油のエマルション中での酸化安定性を検討したところ、DHA油では粒子径の小さい方が酸化されにくい結果となった。さらに、サイズを調整し、粒子径を1μm前後にするとDHA油の方が大豆油より安定となった。こうした結果を基に、DHAとリノール酸のミセル中での酸化安定性について検討し、ナノレベルではDHAとリノール酸の違いが顕著となり、DHAをナノサイズでエマルション中に分散させるとその酸化安定性が非常に向上することを明らかにした。また、この理由についてNMRなどを用いて分析し、界面ではDHAが特殊な構造をとり、DHAやDHAを多く含む油脂では界面が酸化されにくい構造を形成すること、したがって、粒子径が小さくなり、界面の占める面積が増大するとこれらの油脂では酸化安定性の向上することを示した。一方、大豆油では界面は構造的に酸化されやすく、粒子径の減少に伴う界面面積の増大により、酸化安定性は低下するものと考えられた。
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Research Products
(7 results)