2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化フラボノイドの酸化ストレス標的臓器への蓄積代謝と活性発現機構
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16380089
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 佳恵子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40294681)
河合 慶親 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50380027)
坂東 紀子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教務員 (40116851)
東 敬子 農業, 生物系特定産業技術研究機構・野菜茶業研究所, 室長 (10355604)
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Keywords | フラボノイド / 酸化ストレス / 抗酸化物質 / 生活習慣病 / 血管大動脈 / 高コレステロール / 潰瘍性大腸炎 / ケルセチン |
Research Abstract |
野菜果実に含まれるフラボノイド類は生活習慣病の予防に関わる食品由来抗酸化物質であると期待されている。本研究の目的は摂取したフラボノイドが酸化ストレス標的臓器に移行蓄積するプロセスと活性発現機構を解明することである。今年度は昨年度に続いて野菜の代表的フラボノイドであるケルセチンを対象成分としてラットへの体内蓄積を検討した。ラットへ2%ケルセチン添加食を2週間自由摂取させたところ、血中のケルセチン代謝物分布は単回投与の場合とは異なり、抗酸化性代謝物であるケルセチン3-グルクロニド(Q3GA)の含量が少なく、より高極性の抱合体が多いことが明らかになった。この結果から、食事摂取したケルセチンは一過性には小腸における代謝産物が血中にそのまま移行するが、連続的な摂取では、肝臓でさらに代謝変換した高極性抱合体が血中に蓄積しやすいことが示唆された。酸化ストレス標的臓器である脳においては、脱抱合後にケルセチンおよびそのメチル体であるイソラムネチンが検出された。さらに、脳におけるケルセチンは全て抱合体として存在するが、イソラムネチンの一部はアグリコンとしても存在することが明らかになったことから、脳へ移行して活性を発現するケルセチン代謝物としてケルセチン抱合体とともにイソラムネチンを検討する必要があることがわかった。次に標的臓器へのフラボノイドの蓄積代謝を組織学的に評価するために、Q3GAを特異的に認識するモノクローナル抗体を新規に作成した。本抗体はケルセチン配糖体とも結合したが、硫酸抱合体やアグリコンとの結合性は著しく弱かった。本抗体によるケルセチン長期摂取ラット脳の免疫組織染色を行ったところ、特異的な検出はみられなかった。しかし、ヒト粥状動脈硬化病巣においては本抗体により顕著な陽性染色がみられたことから、ケルセチンが血管障害部位である動脈硬化巣に蓄積するという新たな知見を得ることができた。
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Research Products
(1 results)