2006 Fiscal Year Annual Research Report
隔離分布するブナ林の繁殖維持機構評価に基づく復元プログラムの開発
Project/Area Number |
16380099
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 譲 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
秋山 侃 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10283318)
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
王 権 静岡大学, 農学部, 助教授 (50402235)
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Keywords | ブナの隔離分布 / リモートセンシング / 生態学 / 遺伝子 / 緑の回廊創出 / ブナ稚樹の生存条件 / ブナ林再生のロードマップ / 衛星画像 |
Research Abstract |
衛星画像によるブナ個体の探査:地上分解能の異なるIKONOSとLandsat衛星画像を用いて、ブナ個体群の確定作業を行った。地上分解能のことなる衛星画像を用いて、複合画像を作成、最尤分類法を用いて19点のブナ林を分類し、抽出粘度は89,47%であった。今後は、九州および四国地区における1000mクラスの産学に隔離されて分布するブナ林についての実証を行いたい。 ブナ稚樹の成長:ブナ林における更新成功するためのロードマップ作成を目指して、スキー場コース脇のブナ更新地を利用して、ササとブナ稚樹の更新状況をその光環境及び光合成能力と関連させて研究した。その結果、ブナ稚樹はササと競合するに従い、より多くの光を集めるため葉面積を拡大して、光不足を補う。クロロフィルの主成分である窒素を増やして光不足を補う。生態実験によって、さまざまな光環境でこれを再現することができなかった。サンフレック(チラチラ光)の頻度や程度が生理学的な特性に影響することも考えられるので、10秒間隔で収録した光環境のデータ解析およびそれを生かしたphotoinductionを考慮したシミュレーションが課題である。また、ササの葉の除去による光環境の回復および光合成の増進が個体レベルでどのような機能変化を起こすか今後の継続課題として残った。 隔離分布するブナの遺伝子診断:近交弱勢や自家不和合性によって遺伝的な多様性が極端に低下したブナ林が繁殖力を低下させ次世代のブナの種子を生産できないと考えていたが、柱頭に飛来し受粉した花粉の多くが他家花粉である場合は同時に多数の個体の花粉が選択的に受粉していることから、受粉の構造と堅果生産に貢献する花粉の流動という概念を導入しなければならない。これまで、遺伝子の判明した花粉による人工授粉についても、自然条件に比較してあまりにも多いので、近交弱勢の影響が顕在化しない場合がみられる。このように、花粉による受粉状況が血縁度を左右していると考えられる。今後は林分構造の違いによる堅果生産に及ぼす影響も考慮しなければならないことがわかった。 ブナの種豊作年:本年はブナの成り年の翌年にあたったので、シュート単位のブナの結実コストを比較した。豊凶仮計が剰余生産量の過不足によって周期が決定される仕組みを明らかにした。豊作年では、シュートが短く、葉面積が小さくなるが、光合成速度には影響がない。翌年は光合成速度が低下し、葉面積はやや回復する。
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