2005 Fiscal Year Annual Research Report
霧島屋久国立公園霧島地区におけるモミ・ツガ育成天然林施業の展開
Project/Area Number |
16380105
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 茂二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (80128462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 展也 九州大学, 農学研究院, 助教授 (00274522)
白石 進 九州大学, 農学研究院, 教授 (70226314)
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Keywords | 霧島屋久国立公園 / モミ / ツガ / 天然林 / 健全度 / モニタリング / DNA / 母樹 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、現段階でもっとも確実である育成天然林施業法、すなわち老齢な人工林内に成育しているモミ・ツガの後継樹を利用し、ヒノキ・スギの間伐によって収入を確保しながら、モミ・ツガ林を作り出す方法、を現場レベルで確立し、かつ霧島山系全域に展開することである。 今年度の課題は、1)人工林への他樹種侵入過程分析、2)樹木健全度分析、3)遺伝的多様性分析であり、1)では稚樹・後継樹の林内への侵入という視点に絞って、これまでの試験地に加えて新しい試験地を設定し、母樹情報(個体の大きさと位置)を測定して、昨年同様の分析を行った。2)の樹木健全度分析では、既設の健全度モニタリング試験地での健全度と直径成長量の再調査を行った。3)の遺伝的多様性分析では、昨年度の試験地内から採取した後継樹個体のDNAサンプルの分析を行った。 その結果、1)では新設の試験地でも種子源となる母樹の大きさと同母樹からの距離等に関する要因によって人工林へのモミ地樹の進入が規定されていることがわかった。2)モニタリング試験地内のモミ、ツガ、アカマツでは、特にモミの健全度がこの10年間で非常に低下していることが判明した。一方、ツガ、アカマツの健全度はほぼ一定を保っていることがわかった。3)の遺伝的多様性では、モミのDNA分析を行い、遺伝マーカーを開発した。4)年輪解析装置によって母樹ならびに稚樹の成長過程を明らかにする目的で、予備的な解析を行い、被圧状態で非常に成長の遅い後継樹でも、かなりの精度で成長を把握できることを確認した。 以上より、本年度の成果はほぼ計画通りであり、来年度への準備は整ったと判断される。
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