2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16380125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宗原 弘幸 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (80212249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 衛 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (80174572)
今村 央 北海道大学, 総合博物館, 助手 (00312421)
早川 洋一 国際基督教大学, 教養学部, 研究員 (50384011)
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Keywords | 産卵基質 / 分布 / 生殖的隔離 / 卵保護 |
Research Abstract |
アイナメ科魚類には、寒帯性種(スジアイナメなど)と温帯性種(アイナメ、クジメ)がいる。これらが同所的に分布する北海道など温寒帯域では、上記の3種の組み合わせで交雑が起こることが知られている。本研究では、この交雑が起こる生態的要因と交雑の組み合わせとその頻度を遺伝マーカーで明らかにし、沿岸環境保全、水産資源管理などの方策を提案することを最終目的として行った。初年度は、南北海道臼尻沿岸を調査地に、繁殖期、繁殖場所の分布、基質選択性など3種の生態比較を中心に調査した。その結果、以下のことが明らかになった。 産卵基質には種間で違いが見られ、クジメはマクサなどの小型紅藻類、スジアイナメはスガモ、アイナメはアミコケムシの仲間のほか、堤防根固め用の裂石を入れた網袋など人工物を主として利用していた。小型紅藻類やスガモは浅場の岩礁域に、アミコケムシ類は深場の魚礁帯などに分布しており、そのためクジメやスジアイナメとアイナメのなわばりの分布は重複しなかった。しかし、漁港外縁にある消波ブロック帯では、テトラポット上部には藻類が繁茂し、下部には裂石の網袋が敷設されており、クジメやスジアイナメが選好する基質とアイナメの選好する基質が混在する環境となっていた。これらの結果から、3種で産卵基質の違いは明瞭であるが、消波ブロックのような人工物が急峻な斜面を形成する場所では、各種が選好する産卵基質を近づけ異種との遭遇確率を上昇させ、交雑を起こしやすい要因を創出していると推察された。
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Research Products
(4 results)