2006 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂開始機構の解明と新しい魚類配偶子保全技術確立への展開
Project/Area Number |
16380133
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三浦 猛 愛媛大学, 農学部, 教授 (00261339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 亨 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所, 主任研究官 (30221972)
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Keywords | 精子形成 / トリプシン / 黄体ホルモン / 11β-HSD / 減数分裂 / 精子変態 / コルチコステロイド / ストレス防御 |
Research Abstract |
本年度は減数分裂誘起ステロイド:17α,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(DHP)によって精巣での発現が誘導される2種類の因子;トリプシンおよび11β-HSDの機能解析を行った。 トリプシンの精子形成への直接的な作用を調べるため、精原細胞とセルトリ細胞の共存培養系にトリプシンを添加して3日間培養したところ、精原細胞が増加するとともに、増加した精原細胞に減数分裂のマーカータンパクであるSpo11の発現が認められた。さらに、精原幹細胞の単独細胞培養系にトリプシンを添加して培養したところ、前述の精原細胞とセルトリ細胞との共存培養系の結果と同様、精原幹細胞の数の増加が認められるとともに、培養6日目にチューブリン分子を含む鞭毛様構造を持ち細胞表面にアクチン分子が局在化し細胞体が伸長した精子様細胞が多数出現した。これらの結果より、トリプシンはDHPによる制御の下、精原細胞の増殖と減数分裂の誘導、さらには精子変態の制御に深く関わっていることが明らかとなった。 11β-HSDの精巣での活性を詳細に調べた結果、本酵素は、雄性ホルモン11-ケトテストステロンの生合成に作用する以外に、精巣でもコーチゾルからコーチゾンへの変換にも機能することが明らかとなった。コーチゾルおよびコーチゾンの精子形成への作用機序を解析したところコーチゾンは100ng/ml以上の濃度で、精子形成に対して悪影響を与えるが、コーチゾンは何れの濃度に関しても精子形成に対して悪影響を与えないことが明らかとなった。以上の結果より、DHPの刺激により精巣で誘導される11β-HSDは、ストレス等により血中量が増加する有毒なコーチゾルから無毒なコーチゾンへと転換することにより、精子形成の進行を保護する働きがあるものと考えられた。
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Research Products
(3 results)