2005 Fiscal Year Annual Research Report
富栄養化の進んだ閉鎖水系における浚渫ヘドロ及び水生雑草を活用した干潟造成の一試行
Project/Area Number |
16380161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖 陽子 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (30127550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 忠司 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20012007)
渡邊 雅二 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (30243546)
中嶋 佳貴 岡山大学, 大学院環境学研究科, 助手 (50304340)
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Keywords | 富栄養湖 / 人工干潟造成 / 水生雑草群落 / 水質 / ビオトープ / 汚濁負荷量 / 植栽技術 / 環境保全活動 |
Research Abstract |
本研究は、岡山県南部に位置し富栄養化の進んだ児島湖を研究対象地とし、湖内の浚渫ヘドロを利用した人工干潟にて、水生雑草群落を発達させ、ビオトープを創出すると共に、水質の汚濁削減を試みるものである。そして、干潟を構成する物理化学的因子の時系列変化を把握することにより、干潟内の生物間、水界、底泥間の物質収支を予測し、継続的なビオトープの維持管理を提案するものである。本年度は下記の事項を明らかにした。 1.干潟造成地の生態系創出及び発達への基礎研究 (1)水際線より湖水側において、管理を最小限に留め、自然状態における植栽種の群落拡大及び草種間の競合を調査した結果、マコモ、フトイ、ヒメガマが群落を拡大して植生護岸を形成した。 (2)貝類の分布を調査した結果、シジミ類、ヒメタニシ、ジャンボタニシ、ドブガイが多く認められた。なお、植物群落が存在するほど貝類の発生が多いことが認められた。 (3)多孔質セラミックに沈水植物セキショウモを植え付け、現場にて植栽方法を開発した結果、ヒメガマ群落の前部にて植栽後の生育が良好であったが、波浪による消滅も多く見られた。 2.干潟造成地の物理化学的因子の形成過程の把握調査 (1)水際線より湖水側の土壌EC・pHの値は表層・地下5cm共に陸域側より概して高い値であった。 (2)台風の襲来が少なかったので、昨年ほど大きな堆砂や洗掘は認められなかった。これは、植物群落の地下部の発達も関係している。 3.児島湖へ流入する農地からの汚濁負荷量調査 農地は窒素においては一般には削減作用があるが、リンにおいては施肥量や降雨量の増加に伴い、外部への負荷がかかる傾向にあった。 4.児島湖内の水生雑草分布調査及び水質調査 本年度は早い時期からヒシの大発生が生じたが、沈水植物のササバモ群落の再生の兆しは認められなかった。 5.児島湖流域エコウェブのプロジェクト活動支援 渚護岸におけるヨシの植栽の指導、児島湖フォーラムの開催、「児島湖読本」の出版事業への支援を行った。
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Research Products
(4 results)