2005 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリンリンクドキナーゼ不活化遺伝子導入による神経原線維変化モデルの開発
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16380195
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石井 利明 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50264809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 孝幸 国立大学法人京都大学, ウイルス研究所・附属ウイルス感染症センター, 助教授 (80282705)
古岡 秀文 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (60238665)
西村 昌数 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50011995)
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Keywords | ILK / 神経原線維変化 / 病態モデル / アルツハイマー病 / タウタンパク質 / 異常リン酸化 / 脳 / 痴呆 |
Research Abstract |
平成17年度は、野生型integrin-linked kinase(ILK)および、その不活化変異体(DN-ILK)の遺伝子をマウス脳・神経細胞に導入する方法と導入発現効率の指標にするマーカー遺伝子を決定した。次に、決定した発現導入法により野生型ILKならびにDN-ILK遺伝子をマウス脳に導入発現し、また対照群としてマーカー遺伝子のgreen fluorescent protein(GFP)あるいはβ-galactosidase(β-gal)をマウス脳に導入発現した。脳神経細胞への導入発現には、直鎖型polyethylenimineを用いたin vivo用の遺伝子導入試薬を利用した非バイラスシステムの発現法を用いた。本導入試薬にマーカー遺伝子を混和後、マウスの第三脳室に投与すると約12週間にわたり再現良く全脳にマーカータンパク質の発現が確認できた。そこで、本法により野生型ILKならびにDN-ILK遺伝子をマウス脳に導入発現し、遺伝子導入2週間後の急性期のマウスを用いてホールボード試験を行い自発運動と情動に対する影響を評価した。その結果、野生型ILKを発現したマウスの自発運動は対照群と比べて変化が認められなかったが、DN-ILK発現したマウスは若干ではあるが不安・抑うつなどの情動性変化が認められた。次に、モーリス水迷路試験を行い、海馬機能を反映する空間記憶能力に対する影響を評価した結果、野生型ILKを発現したマウスはflag testにおいて高い学習効率が認められ、さらにprobe testにおいても記憶力が向上している傾向が認められた。一方、DN-ILKを発現したマウスの学習効率と記憶能力は、対照群と比べて有意な変化は認められなかった。最後に、行動試験終了後(遺伝子投与3週後)のマウス脳を用いて病理学的評価を行った。遺伝子導入後の急性期では、いずれの群においても顕著な変化が認められなかったが、一部のDN-ILKを発現したマウスにおいて、脳室の拡張傾向が認められた。脳は適応性が高く、目的遺伝子を発現させた直後の急性期においては、生理機能を維持するための適応機構が働くことが予測されため、今後、遺伝子導入12週後の慢性期のマウスを用いて同様に評価する予定である。
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Research Products
(2 results)