2004 Fiscal Year Annual Research Report
マダニ中腸内生体防御分子の機能解明によるマダニ及び動物バベシア症制圧技術の開発
Project/Area Number |
16380209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
辻 尚利 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・感染病研究部, 主任研究官 (70355171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 幸藏 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (00292095)
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Keywords | 感染症媒介者 / 吸血性節足動物 / マダニ / セリンプロテアーゼ / バベシア原虫 |
Research Abstract |
初年度として、マダニ諸臓器に対する各種単クローン抗体をプローブとしたcDNAライブラリーのイムノスクリーニング及び興味あるマダニ生物活性分子(TBM)の遺伝子情報に基づいたcDNA断片のクローニングを実施した。単離されたTBMは、完全長の蛋白をコードするcDNAの単離をすすめ、完全長クローンから順次組換え体による遺伝子産物を用いて機能解析を実施した。その結果、いくつかの完全長cDNAを単離することができ、いずれのクローンも新規の蛋白質をコードするcDNAであった。予想される蛋白質は多くが蛋白分解酵素で、システインプロテアーゼやメタロプロテアーゼ関連分子であった。その内、マダニ生活環を維持するためにとりわけ必須であると考えられる吸血の分子基盤を支えるセリンプロテアーゼ様分子(HlSP)の機能を明らかにした。HlSPはセリンプロテアーゼ特異基質に対して至適pH4-5、至適温度は25℃であったが、HlSPの酵素活性は広い温度域において維持されていることが確認された。この事実は寄生期の宿主体上と非寄生期の宿主体外の著しい温度変化の条件に適応できるようマダニが進化的に獲得してものであると思われた。また、バベシア原虫のベクターでは初めての逆遺伝学的手法を用いてHlSPのマダニ個体内における役割を明らかにすることができた。今年度、マダニ特有のユニークな酵素性状を明らかにできたと同時に、フタトゲチマダニで確立できたRNAi法によって、実際にHlSP導入マダニ個体で逆遺伝学的でHlSPの機能を実証できたことは、本研究を展開する上で非常に意義深いことであった。
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Research Products
(3 results)