2007 Fiscal Year Annual Research Report
マダニ中腸内生体防御分子の機能解明によるマダニ及び動物バベシア症制圧技術の開発
Project/Area Number |
16380209
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
辻 尚利 National Agricultural Research Organization, 動物衛生研究所・人獣感染症研究チーム, 主任研究員 (70355171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 幸蔵 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (00292095)
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Keywords | 節足動物 / マダニ / 病原体媒介者 / ベクター / 中腸 |
Research Abstract |
宿主に長期間吸着し、多量の血液を摂取するマダニの中腸には多数のプロテアーゼが存在し、その機能によって宿主血液の消化を担っている。一方、我々が構築したフタトゲチマダニHaemaphysalis longicornis完全長cDNAライブラリのEST解析により、マダニの中腸では多様なプロテアーゼインヒビターが発現していることが明らかとなった。今回、フタトゲチマダニ中腸より、セリンプロテアーゼインヒビターの一種であるアプロチニン様遺伝子(HlApr)を分離し、その性状について検討した。126残基からなるHIApr推定アミノ酸配列にはシグナル配列が含まれており、ウシ由来・ヘビ由来アプロチニンとそれぞれ55%、50%の相同性が示された。大腸菌にて作製した組換えHlAprは、ウシ膵臓由来トリプシンのBz-DL-Arg-pNaに対する加水分解活性を阻害することが確認された。臓器別におけるHlAprの発現は、中腸で最も強くみとめられ、唾液腺、マルピーギ管からも検出された。また、中腸における発現は、吸血時に顕著に増大していることが確認された。本研究ではさらに、中腸で発現するレグマイン(HLLgm)についても生化学的および細胞生物的解析を実施し、マダニの宿主血液消化、とりわけ、ヘモグロビン分解の最終酵素として重要な役割をはたしていることが明らかとなった。また、抗菌ペプチドの1種であるロンギシンを単離し、宿主血液の消化とバベシア原虫の媒介に欠かせないマダニ生物活性分子であることを、作製したロンギシンノックダウンマダニを用いて実証した。
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Research Products
(13 results)