2004 Fiscal Year Annual Research Report
MRI・CT所見と臨床・神経検査所見を根拠にした小動物の脳疾患局所診断学の確立
Project/Area Number |
16380213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
徳力 幹彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60012001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012016)
織間 博光 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 教授 (50130729)
菅沼 常徳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (50063970)
中市 統三 山口大学, 農学部, 助教授 (60243630)
内田 和幸 宮崎大学, 農学部, 助手 (10223554)
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Keywords | MRI / 犬 / 脳疾患 |
Research Abstract |
医学では標準化されている頭部MRI断層面が、獣医学では犬の頭部MRI断層面すら標準化されていないために、各大学に保存されている犬の頭部MRI写真を比較検討する過程において、比較が困難なことが問題となった。そこで、各大学で用いている断層面を含めて標準化可能な断層面、すなわち、眼窩下耳孔面、脳底面、変法脳底面、硬口蓋面、中心交連間面(AC-PC線)、および第四脳室室底面(Meynert線)の6種類の断層面について、比較検討を開始した。この標準断層面は世界の獣医学分野における標準断層面とならなければ意味がないため、MRIを使用している欧米の獣医学部臨床獣医学科とも話し合いを開始したところである。 標準断層面設定に関する問題点の一つは、犬種によって脳の三次元構造が異なっているために、一つの標準断層面でよいのかという問題である。そこで、16犬種107頭の犬のT2強調頭部正中矢状断MRI写真に基づいて検討した結果、小脳テント上では中心交連間面、小脳テント下では第四脳室室底面を標準断層面としたときにのみ、犬種の如何に関わらず、同一線上に同一の脳構造物を把握することが可能であることが分かった。しかし、標準断層面を2カ所に設定することは記録時間が長くなるなど臨床上問題が多いために、標準断層面を2つとするか否かは今後検討していく課題となった。 62症例のMRI写真と、カルテに記載されている臨床・神経検査所見およびビデオ記録との比較を開始して問題が浮かび上がってきた。犬の脳疾患では脳炎(23症例)や腫瘍(22症例)などの圧迫病変が多いことである。脳炎は浮腫により、腫瘍は占拠性病変として、いずれも脳の圧迫症状を引き起こす可能性があるが、脳の圧迫がどの部位まで及んでいるのかは現在のMRI写真では不明のため、MRIによる脳病変の局在部位と臨床・神経検査所見が必ずしも一致しない症例が認められることである。この問題も今後の検討課題としていくことにした。
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