2006 Fiscal Year Annual Research Report
外洋・深海生態系における人為汚染物質の分布と輸送・蓄積過程
Project/Area Number |
16380217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 周平 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70134658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
太田 秀 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10013591)
西川 淳 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10282732)
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Keywords | 深海生態系 / 食物網 / 汚染物質 / 栄養段階 / 微量金属 / 安定同位対比 / 相模湾 |
Research Abstract |
相模湾の動物プランクトン、甲殻類、魚類を対象に微量元素の濃度と窒素・炭素の安定同位体比を測定し、海洋生態系における微量元素の分布と生物蓄積の特徴を検討した。2004年6月に相模湾(水深約1500m)で採取した浅海および深海生物計40種を分析に供した。微量元素は誘導結合プラズマ質量分析計、冷炎気化原子吸光光度計、または水素化物発生原子吸光光度計を用いて定性・定量した。窒素・炭素安定同位体比(δ^<15>Nおよびδ^<13>C)は安定同位体比精密測定用質量分析計を用いて測定した。 相模湾の動物プランクトン、甲殻類、魚類から検出された微量元素濃度は、ZnとSrが相対的に高値を示し、次いでCuが高濃度であった。これら元素は必須元素、もしくは生体内において類似の挙動を示す元素と考えられる。一方、非必須元素であるTl、Bi、Inの濃度は低く、検出限界付近のレベルを示した。これら微量元素濃度について、食物網における栄養段階の指標となるδ^<15>Nとの関係を検討した結果、Hg、Sn、Csは、δ^<15>Nと有意な正の相関関係を示し、高次の生物に濃縮されることが示された。Hgは生物濃縮性の高いメチル水銀が食物連鎖を介して濃縮したと考えられる。またSnは、フェニルスズ化合物など一部の有機スズ化合物は高等動物に蓄積することが指摘されており、防汚剤などで使用されたフェニルスズ化合物が食物連鎖を介して高次の生物に濃縮されたと推察される。一方、Cu、Mo、Ba、V、Pb、Rb、Srなどの元素はδ^<15>Nとの間で有意な負の相関関係を示し、食物連鎖による生物濃縮性は乏しいことが推察された。
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Research Products
(7 results)