2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のカドミウム耐性・吸収能に関与する二価鉄吸収経路の解明
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16380232
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
吉原 利一 (財)電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (60371506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 文之 (財)電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (20371510)
庄子 和博 (財)電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (10371527)
島田 浩章 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70281748)
穴井 豊昭 佐賀大学, 農学部, 助教授 (70261774)
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Keywords | カドミウム / 高等植物 / 鉄吸収経路 / 耐性 / 蓄積 / トランスポーター |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、スクリーニング試験に供試したカドミウム耐性・蓄積能を大きく異にする代表的な30種の植物から、それぞれの鉄吸収関連トランスポーターの遺伝子ホモログを単離し、比較・解析を実施した。 2.タバコとオオムギを、双子葉植物と単子葉植物(イネ科)のモデル植物として用い、それぞれから鉄の吸収・輸送に関連すると考えられているIRT(二価鉄トランスポーター、NtIRT1)、YSL(仮想ニコチアナミン鉄トランスポーター、NtYsL1、HlvYs1)、IDS2(ムギネ酸合成関連酵素、HvIDs2)の各cDNA全長を単離した。これらの発現をカドミウム存在下(+Cd)、鉄欠乏条件下(DFe)、およびカドミウム/鉄欠乏同時ストレス下(+Cd/DFe)において比較した結果、いずれの条件によってもこれらの遺伝子の発現が誘導された。ただし、その発現はNtIRTではDFeによる誘導よりも+Cdや+Cd/DFeによる誘導において低い値を示したが、NtYSL1、HvYS1、HvIDS2ではDFeによる誘導よりも+Cdや+Cd/DFeによる誘導において高い値を示した。また、これらの遺伝子の発現をタイムコース実験により調べた結果、特にオオムギのHvYS1、HvIDS2については、+Cdによる発現がDFeの発現より早い消長を示しており、実際の植物体の鉄欠乏状態とは無関係な発現であることが明らかとなった。これらの結果から、カドミウム存在下における鉄吸収関連遺伝子の発現は、遺伝子によっては単に鉄欠乏に応答しているだけではなく、カドミウムによる独自の直接的制御を受けて、その耐性などに関与している可能性があることを明らかにした。 3.前項において、ある種の鉄吸収関連遺伝子においてカドミウムによる独自の直接的制御を受けている可能性があることが示唆されたことから、HvIDS2、HvIDS3プロモーター領域の5'-、3'-欠失変異体などを用いた解析を行い、これまでに明らかにされている鉄欠乏応答性のシス配列(IDE1/2)以外に、カドミウムに応答するシス配列が存在するかどうかを調べた。
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Research Products
(14 results)