2004 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価有機ブロマンの合成とその有機合成反応の開拓
Project/Area Number |
16390007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
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Keywords | 超原子価 / 臭素 / 付加反応 / クラウンエーテル / アセチレン |
Research Abstract |
有機化学における新領域、即ちλ^3-ブロマンの化学の分野を開拓することが目的である。我々は三価の超原子価有機ヨウ素化合物の合成にI(III)-B(or Si, Ge, Sn)交換反応が有効であることを既に見出しており、三価の超原子価有機臭素化合物の合成に本法を適用することを計画した。このBr(III)-B(or Si, Ge, Sn)交換反応を実施するためには、三価の臭素化試剤であるBrF_3が必要となる。BrF_3は極めて強力な酸化剤であり、その取り扱いには細心の注意と特殊な技術が要求される。このため長年にわたりBrF_3の化学を研究し、その合成や取り扱いに独自の手法を開発しているドイツゲルハルドメルカトル大学のFrohn教授と共同研究を行い、三価の超原子価有機臭素化合物(オルガノ-λ^3-ブロマン)を合成することに成功した。 我々はこれまでに合成例の全く無いアルキニル-λ^3-ブロマンの合成反応を開発した。具体的には、アリールシランにBrF_3を作用させてまず反応試剤となる超原子価アリールジフルオロ-λ^3-ブロマンを合成した。次いで、アルキニルシランとアリールジフルオロ-λ^3-ブロマンとの配位子交換反応をBF_3の存在下に実施したが、目的とするアルキニル-λ^3-ブロマンを合成することはできなかった。ところが、アルキニルシランの代わりにアルキニルスタンナンを用いると、高収率でアルキニル-λ^3-ブロマンが生成した。また、アルキニル-λ^3-ブロマンークラウンエーテル錯体を合成し、X線結晶解析によりその固体構造を明らかにした。 合成したアルキニル-λ^3-ブロマンは極めて優れたMichael受容体として機能することが明かとなった。アルキニル-λ^3-ヨーダンにp-トルエンスルホン酸ナトリウムを作用させてもそのMichael付加は全く進行しないが、アルキニル-λ^3-ブロマンを用いると緩和な条件下にMichael付加が進行する。より求核性の低いトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムやP-トルエンスルホン酸のMichael付加も進行した。極めて興味深い結果である。
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Research Products
(6 results)