2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓内酸化的ストレスに対するMRP2を介した生体防御機構に関する研究
Project/Area Number |
16390014
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀江 利治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90120154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
設楽 悦久 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (00306656)
関根 秀一 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (70401007)
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Keywords | 酸化ストレス / 胆汁うっ滞 / MRP2 / グルタチオン / 胆汁排泄 / トランスポーター / Protein kinase C / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
これまでにエタクリン酸をin situ肝灌流することにより細胞内グルタチオン(GSH)の低下に起因した酸化ストレスによりMultidrug-resistance associated protein(Mrp)2の胆管側膜から細胞質への内在化を報告している。この内在化のメカニズムを明らかにする目的で、ラットより調製した遊離肝細胞におけるMrp2を免疫蛍光染色法を用い可視化し、MRP2の局在変化を定量的に評価するスクリーニング系を構築した。この系を用い、リン酸化酵素などの阻害剤などで前処理することにより、この内在化には、肝細胞内GSHの低下を引き金とした細胞内カルシウムの上昇、一酸化窒素の遊離などによるリン酸化酵素の一種であるProtein kinase Cの活性化が関与することを明らかとした。一方でMrp2と同様に胆管側膜に発現し胆汁流の生成に寄与している輸送単体であるP-glycoprotein(P-GP)は酸化ストレスによる局在変化を伴わないことがわかった。従って、Mrp2とP-GPの機能制御には、それぞれ異なったメカニズムが存在していることが明らかとなった。また、エタクリン酸とは異なった機構で酸化ストレスを惹起するtert-Butylhydroperoxideにおいても同様のメカニズムによるMrp2の内在化が起こることを確認した。さらに、非ステロイド性抗炎症薬であるナプロキセンの肝灌流においても酸化ストレスが惹起され、胆汁中へのGSHの排出の低下に起因した胆汁うっ滞が引き起こることを報告した。GSHはMrp2の良好な基質であることからこの胆汁うっ滞の原因にもMrp2の内在化が強く示唆される。これらの新しい知見は、臨床における薬剤性肝障害や老化などで併発する胆汁うっ滞の原因解明につながることが期待され、今後に発展性のある研究成果が得られた。
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Research Products
(4 results)