2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経ネットワーク形成におけるRhoファミリーG蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
16390021
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
|
Keywords | semaphorin / Plexin / R-Ras / 軸索ガイダンス / Rho / Rnd1 / 神経回路 / 成長円錐 |
Research Abstract |
神経細胞は、その特徴的な構造である神経突起を介して互いに接着し、複雑な神経回路を形成し、高次脳機能の発現を可能にしている。軸索は様々な軸索ガイダンス因子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到達し、神経回路を形成する。軸索ガイダンス分子の中で、Sema4Dは代表的な軸索ガイダンス分子の1つであり、その特異的な受容体、Plexir-B1に結合し、反発作用を発揮する。しかしその分子メカニズムは不明であった。Plexin-B1の細胞内領域にはよく保存された部位、C1とC2が存在する。我々は、脳に主要に発現しているRhoファミリーG蛋白質、Rnd1がC1とC2の間の領域に結合することを見いだしていた。C1とC2の機能を解析した結果、Plexin-B1のこの領域がRasファミリーの1つ、R-Rasに対する特異的なGAPであることを見いだした。また、Plexin-B1によるR-Ras GAP活性発現にはRnd1の結合が必須であり、Plexin-B1/Rnd1複合体は、リガンドのSema4D刺激により、R-Ras GAP活性を発揮し、R-Rasの活性を低下させた。また、このR-Ras GAP活性の発現により、初代培養海馬神経細胞において成長円錐の崩壊を引き起こした。このことから、Sema4D/Plexin-B1はR-Ras GAP活性により、軸索進展作用のあるR-Rasの活性を抑制することにより、軸索に対する反発作用を発揮することがわかった。さらに、このR-Ras GAP配列はPlexin-Aを含む他のPlexinファミリーにも非常によく保存されているので、Sema3A/Plexin-Aによる反発作用にもR-Ras GAP活性が関わるのかを調べ、初代培養海馬神経細胞で、Sema3A/Plexin-Aによる成長円錐の崩壊にもR-Rasの活性低下が必須であることがわかった。このことから、R-Ras GAP活性はPlexinファミリーに共通した情報伝達機構であることが推察される。
|
Research Products
(4 results)