2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経ネットワーク形成におけるRhoファミリーG蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
16390021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
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Keywords | Plexin / semaphorin / Rho / PhoG / ELMO / Dock180 / 神経突起 / R-Ras |
Research Abstract |
神経回路は、特異な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。神経回路形成の基本は、神経細胞が軸索と樹状突起という2種類の性質の異なる極性を持つ神経突起の形成にある。通常、神経細胞は複数の神経突起をのばし、その中の1本だけが軸索となり伸長していく。その後、残りの神経突起が伸長し、分枝化を引き起こし、樹状突起となり、成熟した神経細胞になる。近年の研究により、この軸索形成に係わる様々な分子や、極性形成の分子機構が徐々に明らかにされつつある。軸索形成は、チューブリン結合タンパク質であるCRMP-2が複数ある神経突起のうち、1本だけに局在化し、そこで、チューブリンの運搬と微小管の重合を促進し、軸索形成と伸長を促進する。CRMP-2はGSK3によりリン酸化され、その微小管重合促進作用が阻害される。そして、軸索形成時にGSK3のリン酸化によるGSK3の活性低下が軸索形成に必要であることがわかっていたが、GSK3の上流でどのような分子機構が軸索の極性形成に係わっているのかは不明であった。我々は、このGSK3の上流のシグナル伝達経路を解析した。その結果、PI3Kの活性化分子であるR-Rasが1本の神経突起に局在化し、活性化され、PI3Kの活性化を介して、PIP3に結合するILKが局在化し、ILKによりAktがリン酸化され、GSK3のリン酸化が促進され、GSK3の活性が抑制され、CRMP-2による微小管重合促進が起きて軸索の形成と伸長が促進されることがわかった。これらのことから、神経軸索の極性形成は、R-Rasの局在化と活性化が引き金となって引き起こされることがわかった。
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Research Products
(6 results)