2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内レドックスシグナルによる上皮-間充織細胞転換(EMT)制御機構
Project/Area Number |
16390025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
野瀬 清 昭和大学, 薬学部, 教授 (70012747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴沼 質子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60245876)
江川 清 昭和大学, 薬学部, 講師 (00095879)
金山 朱理 昭和大学, 薬学部, 助手 (10338535)
森 一憲 昭和大学, 薬学部, 助手 (60349040)
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Keywords | TGFβ / EMT / 活性酸素 / ミトコンドリア / 間葉系遺伝子 |
Research Abstract |
TGF-βによりROSが産生される事を確認後、様々な細胞内ROS産生系のinhibitorとscavengerを用いてそのEMTへの寄与を検討した。その結果、Flavin含有oxidaseのinhibitorであるDPI (diphenylene iodonium)とMitochondria complex 1の阻害剤であるRotenone、そしてscavengerであるPDTC (pyrrolidine dithiocarbamate)によりTGF-β1誘導性の紡錘状形態への変化、E-cadherinとF-actinの局在変化ともに抑制された。この結果から、EMTへのMitochondria由来のROSの関与が示唆された。 そこで更にMitochondriaのEMTへの関与を確実なものとする為に、Mitochondriaを減少させたpseudoρ^o NMuMG細胞を構築した。まず、電子伝達系の阻害及びMitochondriaの減少により細胞がTGF-β応答性を失っていない事を確認する為に、receptorのkinase活性を指標に検討した。その結果、RotenoneはEMT現象のほとんどを阻害したが、receptorのkinase活性には影響を与えずEMTを抑制している事が明らかとなった。また、Mitochondriaを減少させても同様であった。そこで、このpseudoρ^o NMuMG細胞を用いて、TGF-βによる形態変化及び間葉系マーカーの遺伝子発現について検討した。その結果、形態変化は部分的に抑制され、一部の間葉系マーカー(MMP9、Fibronectin)に関しては顕著な発現誘導の抑制が観察された。この事はMitochondriaが一部EMTシグナルを媒介している事を示している。Pseudoρ^o NMuMG細胞において一部遺伝子の発現誘導の顕著な抑制が観察された事から、Mitochondriaが媒介するシグナルは何らかの特異的転写因子の活性化へと繋がる事が予想された。そこでこれまでに知られているTGF-βに応答性reporterによる検討を加えた。その結果、Mitochondriaを媒介するシグナルはAP1の活性化へと繋がる可能性が示唆された。 今後は、AP1の関与を含めたミトコンドリア機能を介したTGF-βシグナルの詳細な検討と共に、TGF-βにより誘導性EMTを媒介する未知の新規遺伝子の同定を試みる予定である。
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