2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン受容体の細胞内情報伝達と生理機能の解析
Project/Area Number |
16390036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
川尻 要 埼玉県立がんセンター, 研究室, 主幹 (50142112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 統悟 埼玉県立がんセンター, 研究室・研究員 (00262072)
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Keywords | AhR / 皮膚 / 毛包形成 / 毛周期 / 細胞内局在 / アポトーシス / 免疫染色 / 損傷修復 |
Research Abstract |
受容体型転写因子Aryl hydrocarbon Receptor(AhR)はダイオキシンの毒性発現に関与していることは明らかになっているが、その生物学的な機能については現在でも明らかになっていない。本研究の目的はAhRによる生体内情報伝達とその生理的機能を細胞内局在制御の視点より明らかにすることである。本年度は、皮膚におけるAhRの生物機能を明らかにすることを研究目標にした。 1).毛包形成とAhR 毛胞はプラコードと呼ばれる表皮の一部の肥厚から始まり、間充織の細胞である真皮細胞との相互作用によって毛芽、毛杭と呼ばれる段階をへて形成される。AhRはマウス胎児の発生後期から表皮で発現が観察され、毛包形成の際にも発現していることが免疫染色やLacZの発現により確認された。AhRは内毛根鞘(IRS)、外毛根鞘(ORS)、毛幹(Hair schaft)、毛母基(Matrix)など上皮性細胞由来の組織のみならず間充織の細胞由来の毛乳頭にも発現していることが確認された。また、AhRは毛周期とも連動して発現が変化するようで、特に退行期、休止期においては核に存在することが観察された。 2).損傷修復とAhR AhRは表皮角化細胞HaCaTのin vitro損傷治癒モデルでは傷口周辺で活性化されており、血液では単球・マクロファージに発現している。そこで、マウス皮膚損傷修復とAhRとの関連性を検討した。2回目の毛周期休止期(〜8週令)マウス[AhR(+/+),(+/-),(-/-)]の背中をバリカンで剃毛後、直径5mmのデルマパンチで表皮を剥離し、傷口の面積を経時的に測定した。デルマパンチによる傷の大きさはグループ間で有意差はない(P<0.05)。修復の評価は初期の傷口面積が50%になるのに要する時間で比較した。その結果、AhR(-/-)マウスが顕著に傷の修復が速く、(+/-)、(+/+)の順で修復が遅くなった。すなわち、正常なAhRの量に反比例して修復が起こりやすくなることが観察された。
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Research Products
(4 results)