2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン受容体の細胞内情報伝達と生理機能の解析
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16390036
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
川尻 要 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主幹 (50142112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 統悟 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (00262072)
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Keywords | 環境 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究の目的はAhRによる生体内情報伝達とその生理的機能を細胞内局在制御の視点より明らかにすることである。本年度は、昨年度に引き続き損傷修復との関係、およびがん抑制機能について検討した。 1、損傷修復とAhR AhRは表皮角化細胞HaCaTのin vitro損傷治癒モデルでは傷口周辺で活性化されており、血液では単球・マクロファージに発現している。2回目の毛周期休止期(〜8週令)マウスの背中をバリカンで剃毛後、直径5mmのデルマパンチで表皮を剥離し、傷口の面積を経時的に測定した。デルマパンチによる傷の大きさはグループ間で有意差はない(P<0.05)。修復の評価は初期の傷口面積が50%になるのに要する時間で比較した。その結果、AhR(-/-)マウスが顕著に傷の修復が速く、(+/-)、(+/+)の順で修復が遅くなった。すなわち、正常なAhRの量に反比例して修復が起こりやすくなることが観察された。AhRのリガンドであるMCやアンタゴニストであるa-naphtoflavone,Resveratrolの効果についても検討をした。また、AhRのrepressorであるAhRR(-/-)マウスでは損傷修復に影響はなかった。 2、AhRのがん抑制作用の解析 AhRは細胞質・核間を行き来するシャトルたんぱく質であり細胞密度依存的に細胞内局在が変化することも明らかになってきた。このような現象はがん抑制遺伝子産物APCやSmad,VHLなどでも観察されている。また、AhR遺伝子欠損マウスでは脱肛が高頻度に発生することが観察されるが、大腸がんを発生するAPC遺伝子変異マウスやSmad3遺伝子欠損マウスでもかなりの高頻度でやはり脱肛が発生している。以上の2点の理由から、従来の常識とは全く逆に、AhRにはがん抑制機能を持つ可能性があると考え、AhR遺伝子欠損マウスによる大腸がんの自然発症の研究を開始し現在までに興味のある結果を見出している。
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Research Products
(1 results)