2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい基底膜様構造フラクトンの機能と脳室下帯神経幹細胞の分化制御
Project/Area Number |
16390048
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
二宮 善文 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70126241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 朋子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30304299)
大橋 俊孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50194262)
廣畑 聡 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90332791)
大塚 愛二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50168986)
内藤 一郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60362993)
|
Keywords | 基底膜 / 細胞外マトリックス / 細胞分化 / IV型コラーゲン / 脳室周囲下帯 / 幹細胞 / フラクトン / ラミニン |
Research Abstract |
成体マウス脳室周囲の領域において、α1(IV),α2(IV)はlaminin γ1鎖と同じような染色像が得られた。α3(IV)、α4(IV)、α5(IV)は染色されるfractoneの数が少なく、α6(IV)は殆ど検出できなかった。基底膜周囲に存在するfibronectinはfractone特有の染色像を示さなかった。脳や脊髄におけるfractoneの分希について調べたところ、脳室のほぼ全周に分布していたが、第三脳室の一部と第四脳室の一部では存在していなかった。また,このfractone構造は生後すぐの脳室周囲では観察されず、生後7日目から現れはじめ、生後14日目では脳室の外側壁に偏った分布を示した。 これらのことから、fractoneはlaminin, IV型collagenのような基底膜を構成する分子で構成されていることが判明した。成体においてfractoneの観察されなかった部位は、軟膜によって脳室壁が作られるような部位(第三脳室および第四脳室)であり、fractoneの存在は少なくとも上衣細胞のある場所に限定されることがわかった。しかし、第三脳室腹側のように上衣細胞層が存在する部位においてもfractoneが観察されない領域があり、必ずしも上衣細胞の存在とfractoneの存在は一致しておらず、その分布はほかの要因によって決定されている可能性が示唆された。また脳室周囲が神経幹細胞のプールとなり、ここから神経新生が起こっているという報告が数多くあり、脳室周囲に存在し成長とともに出現するfractoneは神経新生の制御に関する役割を持っている可能性が考えられた。
|