2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体シグナル調節におけるスフィンゴ糖脂質の作用機構と重複性の解明
Project/Area Number |
16390075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 鋼一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80211530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70293701)
古川 圭子 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50260732)
田島 織絵 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (10362237)
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Keywords | ガングリオシド / ノックアウト / 神経変性 / ニューロン / GD3 / 補体 / ラフト / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
酸性糖脂質糖鎖の生体内機能とその代償のメカニズムの解明のため、GM2/GD2合成酵素、およびGD3合成酵素とのダブルノックアウト(DKO)の異常表現型と遺伝子発現プロフィールの検討を進めた。 1、DKOマウスにおいては、野生型マウスとの遺伝子発現プロフィールの比較において、補体系遺伝子C4、C3a受容体(R)の発現亢進が認められ、S100A8などの炎症関連遺伝子、タンパク質分解酵素、RNAase、などの発現亢進も認められた。 2、補体系の神経変性への関わりを明らかにするために、補体系遺伝子すべてに関して、各週齢の野生型、DKOマウスの脊髄、小脳、肝臓における発現レベルを解析したところ、脊髄、小脳においては、15週齢頃よりC1qa、C4、C3aR、C5aRなどの明らかな発現亢進が認められた。一方、肝臓では一般的に遺伝子発現レベルは高かったが、明らかな変動は認められず、神経系組織と肝臓において独自の補体系の調節機構が存在することが示唆された。また、DKOにおける補体系遺伝子の意義として、ガングリオシド欠損に基づく補体抵抗性分子(GPI型タンパク質)のラフトでの機能不全が惹起されて、補体による組織障害が発生したこと、その病変がさらに補体系の活性化を招いて、変性を増悪することが示唆された。 3、複合型ガングリオシドを欠損するGM2/GD2合成酵素遺伝子のKOマウスでは、残存するガングリオシドとしてGM3、GD3が認められていたが、さらに9-O-acetyl-GD3が脳神経系で発現増強していることが判明した。KOマウスの脳組織全体に9-O-acetyl-GD3の発現が認められたが、驚いたことにプルキンエ細胞には発現を認めなかった。In situ hybridizationではGM2/GD2合成酵素遺伝子の強い発現が見られることから、本来、asialo-系ガングリオシドが高発現することが推測され、GD1cやそのderivativesの存在を検討中である。
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Research Products
(6 results)