2006 Fiscal Year Annual Research Report
CD204(スカベンジャー受容体)の病理診断への応用と新規Mφ抗体の開発
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16390108
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹屋 元裕 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90155052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂下 直実 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (90284752)
海北 幸一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (30346978)
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Keywords | スカベンジャー受容体ファミリー / SR-AI,II(CD204) / CD163 / モノクローナル抗体 / 樹状細胞 / マクロファージ亜群 / マクロファージ活性化 / マクロファージ分化 |
Research Abstract |
スカベンジャー受容体ファミリー分子は、マクロファージ(Mφ)を主体として発現が認められ、Mφによる変性脂質取り込みに重要な役割を果たす。他方、多くのスカベンジャー受容体ファミリー分子は、パターン認識受容体として幅広いリガンド結合性を示し、自然免疫や生体防御におけるMφ機能に重要な役割を担っている。本年度の検討では、私どもが既に報告した抗Mφ抗体であるAM-3Kおよび新規作成の抗Mφ抗体KD163について、質量分析法を用いて認識抗原の解析を行い、両者ともCD163(ヘモグロビン・スカベンジャー受容体)を認識することを示すとともに、CD163は抗炎症性Mφ亜群に強く発現誘導が起こることを明らかにした。またヒト組織の検索で、CD163は炎症巣への浸潤Mφに陽性で、一方、肉芽腫性疾患では肉芽腫周囲への浸潤Mφに強い発現がみられるものの、類上皮細胞や多核巨細胞は弱陽性であることがわかった。さらに卵巣癌や脳腫瘍の検討から、腫瘍内浸潤Mφの多くはCD163に陽性で、悪性度に比例してCD163陽性Mφの密度が増加し、腫瘍促進性に作用している可能性が示唆された。 次にCD204(SR-AI,II)と組織修復の関連を検討するため、CD204欠損マウスを用いて、心筋梗塞後の心筋リモデリングにおけるCD204陽性Mφの機能を解析したところ、欠損マウスでは、梗塞後の心破裂が有意に増加し、CD204陽性Mφがサイトカイン分泌とMMP産生制御を通して、梗塞後の組織修復に深く関わることを明らかにした。 CD163やCD204はMφの活性化経路において、オルタナティブ活性化Mφに強く発現されることが明らかにされており、今後、種々の病態におけるCD163,CD204陽性Mφの役割について、系統的な解析を計画している。
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Research Products
(6 results)