2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性脳炎における組織破壊誘導シグナル分子の研究
Project/Area Number |
16390112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小柳 義夫 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80215417)
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Keywords | HIV / HIV脳症 / 単純ヘルペス脳炎 |
Research Abstract |
本年度は主に、HIVによるHIV脳症およびHSVによる単純ヘルペス脳炎の基盤となる研究を行った。 1)これまで研究代表者が中心となって開発してきたエイズ脳症モデルマウスの行動学的解析を行った。このマウスは、ヒトマクロファージを移植したSCID-huマウスにHIVを感染させ、LPS処理を行ったものである。T迷路を用いた行動解析(CAT-maze)を行った結果、正常のマウスに比して記憶能の異常がある可能性が考えられた。 2)新規エイズ脳症モデルマウスの開発のために、これまでのヒト末梢血ではなく、ヒト血液幹細胞移植をSCIDマウスに試みた。このマウスにHIVを接種すると感染が成立し、新規エイズ脳症マウスの基盤となるモデルを確立することができた。このモデルの特徴は潜伏感染細胞が生体内に存在していることである。 3)我々が近年確立してきたラット脳スライス培養系を用いた感染実験を行った。この培養系にHIVに感染したマクロファージを共培養すると、神経細胞を中心とした障害が起こり、新規の感染培養系モデルが確立された。 4)単純ヘルペス脳炎モデルラットを作製し、解析した。方法は感染性の単純ヘルペスウイルス1型を脳内注射および鼻腔接種した。その結果いずれの場合でも組織破壊を伴う脳炎症状を呈し、死亡した。その脳組織を解析すると従来報告されてきた神経細胞以外にも様々な細胞に感染破壊が起こっていることが判明した。 5)前記の脳スライス培養系およびラット脳初代培養系に感染性単純ヘルペスウイルス1型を感染させ、経時的な感染伝播および組織破壊を観察した。その結果、これまで報告されている神経細胞のみならず、様々な細胞に感染し、組織破壊を引き起こしていた。
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Research Products
(8 results)