2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390114
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
笹原 正清 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20154015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 俊彦 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80301274)
尾矢 剛志 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00343179)
石井 陽子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00361949)
堀 悦郎 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (90313600)
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Keywords | PDGF / conditional knockout / Cre lox P / 脳 / 行動実験 / 神経保護因子 / 受容体 / 神経分化 |
Research Abstract |
本projectは、脳に発現する血小板由来増殖因子(PDGF)の、特に、生後脳における役割を解明することを目的としている。Cre-lox P systemによるPDGF受容体β (PDGFR-β) conditional knockout modelを開発し研究を遂行している。 1)神経幹細胞の分化におけるPDGFの役割 neurosphereの培養を行い、PDGFR-β発現をCre IoxP systemによる抑制を含めた検討を行った。PDGF-B/PDGFR-βsignalが神経幹細胞から神経細胞への分化を誘導すること、神経幹細胞の遊走と生存を促進すること、これらの作用はbasic FGFと協調して効果を示すことを明らかにした。これらの神経幹細胞への作用は、高次脳機能や脳組織の保護にPDGFが重要であることを示唆した。 2)AMPA受容体へのPDGFR-βの関与 Cre loxP systemにより神経特異的にPDGFR-β発現を抑制したものおよび野生型マウス脳から孤束核を含む脳幹部のbrain sliceを準備した。PDGF-Bは、孤束神経電気刺激後にみられる孤束核の興奮性入力が抑制される事を見いだした。PDGFR-βのknockout modelを含めたその後の検討により、PDGFR-βが孤束核へのAMPAにより伝達される興奮性入力をpost-synapseで抑制することを明らかにした。AMPA受容体機能をPDGFが制御しうることを初めて明らかにした。 3)PDGFR-βの神経保護作用機序の解明 Cre loxP systemにより、初代神経細胞を樹立しての後、PDGFR-β発現抑制を誘導できるシステムを開発した。これは、培養系におけるPDGFの機能評価を可能にした。同システムを用いて、これまで生体で示してきたPDGFの神経保護効果の機序を細胞レベルで解析を進め、カルシウムイオンおよび主たる生存を維持する細胞内シグナルが重要な役割を示すことを明らかにしつつある(論文作成中)。 4)マウス行動におけるPDGFR-βの役割 神経細胞におけるPDGFR-β発現をCre-loxP systemにより抑制し、非常に重要な高次脳機能に重篤な障害が発生している事実を見出し、現在、障害発生基盤の分子機構解明が急務の状況である。 5)その他 骨髄問葉系細胞は骨、軟骨、脂肪組織に分化し、骨間代謝の中心的細胞である。当該細胞に発現するPDGFR-β細胞増殖や遊走を促進する一方で、種々の誘導性転写因子の抑制を介して骨への分化を強く抑制することを示した。
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Research Products
(6 results)