2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷応答のシグナル伝達におけるミスマッチ修復機構の機能解明
Project/Area Number |
16390122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
下平 秀樹 宮城県立がんセンター(研究所), 薬物療法学部, 副主任研究員 (70373214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 康子 宮城県立がんセンター(研究所), 薬物療法学部, 上席主任研究員 (50250832)
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Keywords | DNAミスマッチ修復 / アポトーシス / DNA損傷 |
Research Abstract |
DNAミスマッチ修復欠損細胞はシスプラチンやアルキル化剤などがある種のDNA損傷に対し耐性を獲得することが知られ、その機序としてミスマッチ修復機構がp53依存症、p53非依存症のアポトーシスを誘導すると考えられている。我々はこれまでにミスマッチ修復タンパク質PMS2とp53ファミリーのひとつであるp73が複合体を形成することを報告し、ミスマッチ修復機構とp73に依存したアポトーシス誘導経路が存在することを明らかにした。本研究ではさらに遺伝性非ポリポーシス大腸癌(以下HNPCC)家系で報告された変異型MLH1が細胞内に存在するときにPMS2-p73の複合体形成にどのような影響があるかを検討する目的で以下の実験をおこなった。293T細胞にPMS2、p73、MLH1を発現し、それぞれの複合体形成を免疫沈降により解析した。また、シスプラチンを加えたときに複合体形成の変化を同様に検討した。MLH1欠損大腸癌細胞株HCT116に変異型MLH1を発現し、シスプラチン処理した場合のp73のタンパク質量の変化、アポトーシス誘導を調べた。 その結果、変異型MLH1の中にはPMS2と結合できないものが、その他に逆にPMS2-p73の複合体形成を増加させるものがあることがわかった。これによりMLH1の変異はPMS2-p73の複合体形成に影響を及ぼし、DNA損傷時の細胞の反応性を変化させることが示唆された。しかし、PMS2-p73複合体を増加させるようなMLH1変異体をHCT116細胞に発現し、シスプラチン処理後アポトーシス誘導をPAPR分解によって検出した結果、必ずしもPMS2-p73複合体の量はアポトーシス誘導能と単純に関連していなかった。したがって、正常MLH1が存在しないとPMS2-p73複合体が増加したとしても何らかの形で機能を欠損した不活性型であり、MLH1が存在する場合にPMS2-p73によるアポトーシス誘導経路が正常に機能できるものではないかと仮説をたて、現在検討中である。
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