Research Abstract |
線虫感染における小腸上皮杯細胞関連遺伝子の発現増強にかかわる因子を探索するために,免疫不全scid mouse及びTNF knockout mouseにHeligmosomoides polygyrus(Hp)を感染させin vivoにおける粘液コアペプチドMUC2,非粘液分泌ペプチドresistin-like molecule β(Relm β),intelectin2,及びシアル酸転移酵素Siat 4cの発現を解析するとともに,ラット小腸陰窩上皮細胞由来細胞株IEC-6に各種サイトカインを投与し,IEC-6の粘液産生および糖鎖の変化をin vitroで解析した. 結果: 1.Hp感染scid mouseは,Hp感染対照マウスと比較して,感染率は同等であったが,Hp成虫の排卵数は有意に高値を示した.Hp感染scid mouseにおける杯細胞増生反応,粘液分泌反応,MUC2発現及びintelectin2,Siat 4c発現は対照に較べて有意に低値を示した.Relm β発現は対照マウスと同等であった. 2.Hp感染TNF knockout mouseは,Hp感染対照マウスと比較して,感染率,成虫排卵数ともに同レベルであり,杯細胞増生,粘液量の増大,MUC2発現,Relm β,Siat 4c発現レベルも対照マウスと同等であった. 3.IEC-6細胞にIL-4,IL-13を投与するとSiat 4c及び硫酸基転移酵素3OST1の遺伝子発現が増強した. 以上の結果,線虫感染マウスにおける杯細胞反応は基本的にT,B細胞に依存性であるがTNFには依存しないことが明らかになった.線虫感染ラットにおける杯細胞反応は,昨年度研究報告書に記載したごとく必ずしもacquired specific immunity依存性とはいえないが,本年度のIEC-6細胞における解析から,少なくともシアル酸転移酵素Siat 4c及び硫酸基転移酵素3OST1の発現はTh2 type cytokine依存性であることが示された.
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