2005 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性菌における多剤排出ポンプの系統的解析とポンプ阻害剤の開発
Project/Area Number |
16390131
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土屋 友房 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80012673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 照夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80304327)
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Keywords | 多剤耐性菌 / 感染症 / 多剤排出ポンプ / 抗生物質 / 耐性系阻害薬 |
Research Abstract |
多剤耐性菌として臨床現場で問題になっているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、緑膿菌、肺炎桿菌等と、我が国における食中毒の主要な原因菌の一つである腸炎ビブリオについて、多剤排出ポンプの系統的解析を進めた。MRSAN315株については、ゲノムシーケンスから37個の多剤排出ポンプが存在すると推定されたが、既解析の3つの多剤排出ポンプに加え、未解析の34個すべての遺伝子をクローニングすることに成功した。それらの性質を調べると共に、N315株における発現を調べた。それらのうち、どれとどれがMRSAの多剤耐性に関与しているか、明らかになりつつある。このように、MRSAについては多剤排出ポンプの全体像が明らかになりつつある。肺炎桿菌と腸炎ビブリオについてもゲノムシーケンスから推定される各30個程度の多剤排出ポンプのうち、各10個程度について遺伝子クローニングに成功し、それらの性質を明らかにした。特筆すべきは、肺炎桿菌において、これまで生物界で知られていなかった4成分型多剤排出ポンプが存在することを見いだしたことである。肺炎桿菌に限らず他の細菌等にも存在するものと考えられる。腸炎ビブリオにおいては、グラム陰性桿菌の多剤耐性において主要な役割を果たしているRND型多剤排出ポンプすべてについて遺伝子クローニングを行い、それらの性質を明らかにし、かつそれらの遺伝子破壊株を構築してそれらの役割を明らかにしつつある。緑膿菌についても新たな多剤排出ポンプ3つについて遺伝子クローニングを行い、性質を明らかにしている。 多剤排出ポンプ阻害物質を含む耐性系阻害物質については、ケツケイシからスカイリンを見いだした。そしてスカイリンがMRSAの主要な多剤排出ポンプの1つであるNorAを阻害することを明らかにした。その他の耐性系阻害物質も見いだし、それらについても作用点等を解析している。
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Research Products
(6 results)