2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルスがコードするTaxによる細胞の増殖制御機構の解析
Project/Area Number |
16390135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下遠野 邦忠 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10000259)
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Keywords | HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス) / NF-κB / CREB / ATL(成人T細胞白血病) / p21^<WAF> / アポトーシス / Tax / 転写活性化 |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染による成人T細胞白血病(ATL)の発症にはTaxの密接な関与が示唆されている。特にTaxによるNF-kB, CREBなどによる転写活性化はウイルス自身の増殖だけでなく、細胞の不死化に重要な働きを果たすといわれている。それ以外にHTLV-1感染細胞およびATL細胞においてはサイクリン阻害因子p21^<Waf>が恒常的に発現が亢進している。これまでの研究から、p21^<waf>がTaxによるNF-κBの転写活性を亢進するだけでなく、HTLV-1遺伝子の発現が見いだされないATL腫瘍細胞においても発現亢進していることから本細胞の腫瘍状態を維持して増殖する機構に抗アポトーシス作用を賦与していると考えた。そこで、Taxによるp21^<Waf>発現が細胞の増殖にどのような効果を示すかを調べた。既にp21^<Waf>がNF-κBを活性化することが知られているので、その活性化機構を調べた。その結果、Taxとp21^<Waf>が共存すると新たにNF-κBのひとつであるp100の発現が亢進され、そのプロセス産物であるp52も増えた。すなわちTax単独の時に比べp21^<Waf>が共存在するとNF-κBの活性シグナルが多様化することを見いだした。発現が多様化したNF-κBの下流遺伝子の中から、Bcl2の活性化が観察された。このことはp21^<Waf>の発現亢進は細胞をアポトーシスから守ることが強く示唆される。
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Research Products
(5 results)