2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス潜伏感染遺伝子による感染動態制御と宿主遺伝子発現動態制御の解析
Project/Area Number |
16390136
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 啓次 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00221797)
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Keywords | LANA / RTA / 潜伏感染 / RTA誘導因子 / PEL / 複製・分配・維持 / インスレーター / マトリックス |
Research Abstract |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)前初期遺伝子RTAが誘導する宿主遺伝子をコンディショナルRTA発現誘導系(ポナステロンA誘導系)を作製しDNAチップを用いて解析した。RTAはhey1、cxcr4などの宿主遺伝子を発現誘導することが判明したが、これは主にRBPJκの結合サイトを介していると思われた。発生の過程で転写抑制因子として機能するhey1についてさらに詳細に解析し、hey1はRTAの発現をRTA制御領域上の特異的な領域を介して抑制することが解った。ゲルシフトアッセイやクロマチン免疫沈降法による解析によるとこの機序は該当領域への直接的な結合によるものではなく間接的な該当領域への相互作用によるものであると推測された。HDAC1~3やmSin3Aとの相互作用も確認できなかったため、転写抑制に直接関わる因子は別に存在するものと考えられた。しかしこの領域に結合する因子はゲルシフトアッセイで確認できるため、今後この結合因子の同定を中心に研究を進めた。 KSHVはPEL細胞株でそのゲノムが細胞内に一定のコピー数で維持されているが、この機構について解析を行った。LANAとその結合領域が存在する末端反復配列の存在は細胞周期に呼応した複製の必要十分であるがゲノムの維持・分配に関しては十分ではなかった。またこのことはウイルスゲノム全長をクローニングしたbacmidでも同様であった。このことは本来KSHVゲノムがPEL細胞株に維持されているのはPELの増殖がウイルスの存在に依存していることを示すものと思われた。 LANAとK14はhead-to-headで向き合った遺伝子でともにその制御領域を共有していると思われるが、潜伏感染において前者は発現し後者は全く発現しないという現象がみられる。共有すると思われる制御領域をE1B minimal TATA luciferaseの上流に挿入しレポーターアッセイをするとorf73の方向へは強い発現活性がみられるのに対しK14の方向へは全く活性がみられないことが解った。このプロモーター活性の方向性を決定する領域を同定した。今後方向性を示す機序-インスレーター活性-について更に解析した。 KSHVの潜伏感染における複製機構についてKSHV潜伏感染複製origin(OriP)における複製前複合体の形成機構について解析した。この形成にはLANAが必須であることはもちろんであるがその形成の場は核内マトリックスで行われることを証明した。このことはLANA自身がマトリックスへ集積する性質もつことから何らかの宿主因子との相互作用が想定される。
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Research Products
(6 results)