2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規NK細胞レセプターファミリー分子による免疫制御機構の解明
Project/Area Number |
16390141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10261900)
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Keywords | ペア型レセプター / PILR / CD200 / 免疫逃避 / NK細胞レセプター / 腫瘍免疫 / メラノーマ / NK細胞 |
Research Abstract |
NK細胞レセプターは、活性化レセプターと抑制化レセプターよりなりウィルス等の病原体とともに進化してきたと思われ生体防御に重要な機能を担っていると考えられる。そこで、本研究では、新たな活性化NK細胞レセプターの解明およびそのリガンドの同定により、NK細胞による免疫制御機構の解明を行った。その結果、活性化NK細胞cDNAライブラリーより活性化アダプター分子であるDAP12に会合する分子として活性化PILRや活性化CD200レセプターをクローニングした(Shiratori et al. J.Immunol.2005)。さらに、PILRのリガンドとしてPILR-Lをクローニングし、NK細胞の標的細胞認識に重要な機能を担っていることを明らかにした(Shiratori et al. J.Exp.Med.2004)。さらに、PILRのリガンドについて解析したところB16メラノーマ等ではPILR-Lを発現していない細胞でもPILRに認識されることが判明した。そこで、B16より再度cDNAライブラリーを作製し、リガンドの同定を行ったところ、解析を進めた結果、新規のリガンド分子PILR-L2をクローニングした。実際、PILR-L2発現細胞は抑制化PILRによって認識された。以上のように、PILRはNK細胞の標的細胞認識に重要な機能を担っていることが明らかになった。さらに、PILRによるPILR-L2の認識には、糖鎖修飾が重要であることを明らかにした。実際、B16にある種の糖転移酵素を導入すると、B16の発現するPILR-L2はPILRに認識されなくなった。その結果、B16は抑制化レセプターに認識されず、マクロファージ等を強力に活性化することが明らかになった。以上より、ある種の腫瘍細胞は、糖鎖修飾を改変することにより、免疫細胞の発現する抑制化PILRのリガンドを獲得し、免疫応答を抑制する新たな腫瘍細胞による免疫逃避機構が明らかになった。
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