2004 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞の分化と機能発現におけるPI3キナーゼの役割の解明
Project/Area Number |
16390146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
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Keywords | ノックアウトマウス / c-kit / SCF / IL-3 / ケモカイン / 接着分子 |
Research Abstract |
これまでに、クラスIAフォスフォイノシタイド3リン酸キナーゼ(以下ここでは特に断らないかぎりPI3K)ノックアウトマウスにおいて消化管肥満細胞が欠損し、消化管寄生虫に対する感受性が上昇することを見いだしている。興味深いことにこのマウスは皮下の肥満細胞は正常に分化する。本研究ではなぜPI3Kノックアウトマウスにおいて消化管肥満細胞のみが欠損するのかを明らかにすることをめざしている。これまでに、培養肥満細胞を用いたシグナル伝達系の解析から、肥満細胞の分化や増殖に重要な増殖因子SCFの受容体であるc-kitの下流のシグナルに障害があることが明らかになった。しかし、これのみでは消化管肥満細胞が欠損しながら皮下の肥満細胞が正常に分化することは説明できない。そこで、限界希釈法を用いて肥満細胞前駆体の数を数量化した。その結果、骨髄における前駆体の数は野生型と差が見られないが、腸管における先駆体の数が野生型と比較して約1/10であることが明らかになった。この事実は腸管において前駆体の増殖生存を維持する因子に障害があるか、あるいは前駆細胞の移動に障害がある可能性を示唆する。前者に関してはIL-3の関与を疑い、現在IL-3ノックアウトマウスの解析に着手したところである。後者に関してはケモカインと接着分子の関与を考えて実験を進めている。これまでの試験管内での分化系を用いる限りは接着分子の誘導には問題はなさそうである。ケモカインの関与についてさらに検討を進めている。
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Research Products
(3 results)