2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390149
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 英夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30291404)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 鳴夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80144286)
小泉 俊三 佐賀大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40274584)
長崎 裕 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50332507)
|
Keywords | 卒後臨床研修 / 患者安全 / 安全管理 / M & Mカンファレンス |
Research Abstract |
臨床研修に於ける侵襲処置を行なう場合のリスク予知分析の結果によると、文献検索により明らかになった合併症で、頻度が低いものはより重症で予後影響を及ぼすことが明らかになった。それらに対する防止策を含んだ標準手順を作成する場合に参考となりうる標準手順は、調査行なった対象病院およびアンケート調査対象の卒後臨床研修認定病院においても、殆ど存在してない事が明らかとなり、教育現場でのバリエーションは大きなものになることが推定された。作成したIT教材は、基本的にはリスクを中心に学ばせるものであるところから、一応の標準手順は作成してあるが、日本全体の標準とするには改良すべき部分があることが明らかになった。今後の課題として研究の成果より明らかになったことは、学会及び教育に関するワーキンググループによる標準手順の作成を一刻も早く開始することが望ましい。米国のレジデント制度、欧州に於ける医学教育制度の違いにより、臨床研修期間における技術、知識の進達度には大きな違いが存在するため、一概にどちらが優れているとは言いがたい点があるが、視察(シミュレーション施設、Morbidity & Mortalityカンファレンス、および病棟ラウンド、Multidisciplinaryカンファレンス,病院としてのガイドライン策定会議)と情報収集の結果から明らかになったことは、特に米国においてはレジデントの勤務時間制限の煽りを受けて、安全管理上必要とされるM & Mカンファレンスの開催頻度が極端に減少しつつある点、それを、補うため病院の安全管理部門が主導となってMultidisciplinaryカンファレンスを開催すること、通常の症例検討以外にもインシデント報告および簡単な要因分析を含めたカンファレンスを実施して、安全に関するQuality Assuranceを行なっている点が、今後の日本の安全教育を推進していくに際して有用な情報として得ることが出来た。研究計画では、臨床研修中に研修医が起こしたインシデントに関してのroot cause analysisを行い、その要因に対する対策に言及することが含まれていたが、患者情報保護や匿名性の観点から事例の収集が困難であり、今後はclosedのグループでの、研究的活動による分析結果の集積を実施できる組織作りが、日本の医療安全教育の向上に必要と考えられる。
|