2004 Fiscal Year Annual Research Report
リゾホスファチジン酸の血管生物学的意義の解明とその測定の臨床検査医学的応用
Project/Area Number |
16390162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢冨 裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60200523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 克巳 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50159109)
中原 一彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70101095)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / リゾリン脂質 / 臨床検査 / 血管内皮細胞 / 血漿 / オートタキシン / 血管生物学 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid ; LPA)の血管生物学的意義に関して基礎・臨床両面から迫るべく研究を行い、以下の成果を上げた. 1)血管内皮細胞におけるLPAの機能的役割 少なくともヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いた検討では,血管内皮細胞はLPAに対する受容体LPA1とLPA2を発現しているものの,LPAに対して増殖・遊走等の機能的応答を示さなかった.また,種々の刺激を負荷した場合に,LPA受容体の発現の変化を検知できなかった.しかし,HUVEC培養上清にLPAを添加すると,急速に代謝されるという興味深い現象が観察できた.おそらくエクト酵素であるlipid phosphate phosphatase(LPP)の関与によると考えられる. 2)血漿LPA濃度を測定する方法の確立とその臨床検査への応用 最近報告されたenzymatic cycling法によりLPAを測定し,基礎検討を行った.つまり,サンプル中のLPAをリゾホスフォリパーゼによりグリセロール3-リン酸へと水解し,これをグリセロール3-リン酸オキシダーゼとグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼによりenzymatic cyclingし,反応産物である過酸化水素を最終的にはTOOSと4-アミノアンチピリンにより熱量測定するものである.本法は自動分析装置での測定が可能であり,LPA測定の臨床検査医学的応用を考えた場合に最適なものと確信するに足るデータを得た.また,最適な血漿検体採取法を確定できた. 3)血液細胞上のオートタキシン抗原発現の解析 オートタキシンはLPA産生の鍵を握るものである.この発現解析がフローサイトメトリーにより可能になった.正常血球における発現パターンも確定できた.
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