2005 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の集素化及び塩素・集素化ダイオキシン類による環境及び人体負荷影響の解明
Project/Area Number |
16390174
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 助教授 (10213729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助手 (20248066)
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
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Keywords | 臭素化ダイオキシン類 / 塩素・臭素化ダイオキシン類 / 環境負荷影響 / 人体負荷影響 / 臭素系難燃剤 / 母乳汚染 / 底質汚染 / 毒性評価 |
Research Abstract |
我が国の臭素化及び塩素・臭素化ダイオキシン類による環境及び人体負荷影響の解明することを目的として、まず、環境負荷指標としての底質に着目し、瀬戸内海沿岸地域で採取した底質試料を用いて、臭素系難燃剤及びダイオキシン類の汚染実態の解明を行うこととした。その結果、臭素系難燃剤であるPBDEsとTBBPAに関しては、大阪湾沿岸地域で採取した底質中に特に高い汚染を示したことから、この地域では、上記した両難燃剤等が大量使用されていることが推定された。また、岡山県水島の試料中に、極めて高濃度のPBDDs/DFs汚染が観察されたことであった。次に、我が国における臭素化及び塩素・臭素化ダイオキシン類による人体負荷影響を解明するために、ヒト母乳を用いて、人体汚染実態の解明を試みた。その結果、TEQ値は経産婦で平均8.40pg、初産婦で平均17.8pgとなり、両者には顕著な差が観察された。また、PXDDs/DFsでは、PCDDs/DFsの場合と比較して、PXDDs/DFsの実測値は極めて低いのに対して、TEQ値は、PXDDs/DFsのそれの4〜46%に相当することが明らかとなり、母乳試料中には、毒性の高い2,3,7,8-体の臭素系ダイオキシン類が大量に存在する可能性が示唆された。一方、PBDDs/DFsについては、PXDDs/DFsの結果とは逆に、実測値において顕著な差が観察され、経産婦で平均41.4pg/g、初産婦で269pg/g lipidと6倍以上の濃度差が観察された。その中、大きな割合を占め、また、全ての母乳試料においてTeBDDsが50〜90%を占めいた。さらに、上記母乳試料を乳児に授乳した時の、生体負荷量を試算した結果、生体負荷量に対する寄与率は、PCDDs/DFs>PXDDs/DFs>PBDDs/DFsの順であった。とりわけ、PXDDs/DFsの平均寄与率が経産婦では17.9%、初産婦では12.6%であり、予想以上に高い寄与率を示しおり、母乳中のダイオキシン類による新生児、乳児への毒性影響を考慮する上で、PXDDs/DFsの関与が無視できないレベルであることが明らかとなった。
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