2004 Fiscal Year Annual Research Report
心不全におけるマスト細胞、幹細胞因子・c‐kit系の解明
Project/Area Number |
16390223
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松森 昭 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70135573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 亮介 京都大学, 医学研究科, 助手 (00335275)
|
Keywords | Mast cell / Myocarditis / Mutant mice |
Research Abstract |
【目的】マスト細胞は、細胞内顆粒に多種多様な化学伝達物質、サイトカインを含んでおり、さまざまな炎症性疾患で大きな役割を果たすことが知られているが、近年、動脈硬化、心疾患におけるマスト細胞の関与が報告されている。今回我々は、2系統のマスト細胞欠損マウスを用いて、脳心筋炎(EMC)ウイルスによる心筋炎を作製し、心筋炎におけるマスト細胞、SCF(マスト細胞増殖因子)-c-kit(SCF受容体)の関連について調べた。 【方法】2系統のマスト細胞欠損マウス((1)W/W^V:c-kit receptor欠損(2)Sl/Sl^d:SCF欠損)とそのWTマウスに対し、EMCウイルスを10pfu腹膜接種して心筋炎モデルを作成し、7日後の心臓の組織学的所見、14日後の生存率を検討した。さらに、これら2系統のマウスに対しそれぞれの方法でマスト細胞を再構築させて、同様に心筋炎モデルを作成し、心筋炎組織の評価と、mMCP-4、-5、MMP-9の遺伝子の発現を検討した。マスト細胞の再構築の方法は、W/W^Vマウスに対しては、そのWTの骨髄細胞をSCF, IL-3存在下に4週間培養し、経静脈的に移植する方法を、Sl/Sl^dマウスに対してはmouse recombinant SCF(30μg/kg/day)を21日間連日皮下投与する方法を利用した。 【結果】W/W^V、Sl/Sl^d群は、それぞれのWT群に対して、生存率は良好であった。また組織学的評価でも、炎症細胞浸潤、壊死ともに軽度であった。マスト細胞を再構築させたW/W^V、Sl/Sl^d群では、その対照群(normal W/W^V、Sl/Sl^d)に対して、炎症細胞浸潤、壊死ともに悪化を認めた。さらに、mMCP-4,-5,MMP-9の遺伝子発現は、マスト細胞を再構藻させたW/W^V群では、その対照群(normal W/W^V)に対して、有意に上昇しており、mMCP-4とMMP-9、mMCP-5とMMP-9で相関関係も認められた。 【総括】マウスウイルス性心筋炎において、マスト細胞による線維化のプロセスが、急性期に始まっているということが示唆され、マスト細胞活性化抑制や、SCF-c-kitシグナル伝達の制御により心筋炎の治療が可能となることが示唆された。
|
Research Products
(6 results)