2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維化に対する気道上皮細胞の機能的役割の解明と治療法の研究開発
Project/Area Number |
16390233
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
有馬 雅史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00202763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20134364)
幡野 雅彦 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教授 (20208523)
坂本 明美 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (90359597)
藤村 理紗 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助手 (30376363)
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Keywords | BCL6 / 転写抑制因子 / 気道上皮細胞 / 間質性肺炎 / アポトーシス / 線維化 / 遺伝子欠損マウス / 遺伝子導入マウス |
Research Abstract |
肺線椎症は肺胞領域に組織再構築(リモデリング)の結果、線維化による重度の呼吸不全をきたし、難治性で根治的治療法が存在しない予後不良の疾患である。その本態として肺上皮細胞の繰り返す傷害・損傷が線維化の発症および進行に重要な役割を果たす可能性が考えられている。すなわち、高度な上皮傷害とそれに続く線維芽細胞に代表される間葉系細胞の増殖をともなう異常な治癒過程により線推化の促進に進むと考えられる。 BCL6は主にリンパ球、心臓、脾臓そして気道上皮細胞を含む肺に強く発現しており、これら臓器・細胞に対して重要な転写抑制因子として働いていると考えられる。また、BCL6は細胞の終末分化に関与することが知られており、細胞の恒常性の維持に関与すると考えられるがその詳細な機構は不明である。そこで、本研究は、肺上皮細胞の形態的・機能的な恒常的維持機構についてBCL6の役割を分子レベルで解析し、明らかすることを目的としている。 1)サーファクタントプロティン(SP)C遺伝子プロモーターを利用した気道上皮細胞に選択的にBCL6を強発現するTgマウス(4系統)をH16年度に作製がしたが、いずれも外因性のBCL6の発現が弱くH17年度に新たに6系統のTgマウスを作製し、現在、肺組織でのBCL6蛋白の発現を免疫組織化学法によって解析している。 2)細胞の維持機構に対するBCL6の役割を解析するために、ヒト肺上皮細胞株に対し内因性BCL6の機能を抑制する目的でBCL6のドミナントネガティブ(A549-BCL6-DN)変異体を導入した機能安定株を作製した。解析の結果、A549と比べてA549-BCL6-DNでは増殖の低下および細胞死の増加を認め、癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の発現が増加していた。また、ケモカインであるMCP-1やMCP-3遺伝子の発現の増加も認めた。以上の結果はBCL6が細胞周期の調節によって気道上皮細胞の恒常性の維持に深く関与することや、遊走性サイトカインの産生を調節することによって、気道炎症の制御に関わることを見出した。
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Research Products
(5 results)