2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病の低分子化合物による治療法の探索-球脊髄性筋萎縮症を中心に
Project/Area Number |
16390250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
道勇 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90293703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章景 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, COE助教授(研究員) (30378012)
祖父江 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20148315)
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Keywords | 球脊髄性筋萎縮症 / アンドロゲン受容体 / CAGリピート / ポリグルタミン / トランスジェニックマウス / 分子シャペロン / ヒストン脱アセチル化 / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子内のCAGリピートの異常延長により、運動ニューロンなどが特異的に変性死に陥る。AR遺伝子のCAGリピートが蛋白質に翻訳され、異常延長したポリグルタミン鎖になることで、変異ARが新たな毒性を獲得することが判明している。我々は、chicken β-actinプロモーターの調節下で異常延長したCAGリピートをもつヒトの全長のAR遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(Tg)を作成し、種々の治療的介入実験を行った。抗癌剤として臨床試験されているHsp90阻害剤には、Hsp90のクライアント蛋白を不安定化させる作用とマウスや細胞レベルで分子シャペロンの発現を増加させる作用が確認されている。Hsp90阻害剤の投与により濃度依存性に変異AR蛋白が著減し、Hsp70やHsp40の発現も増加した。Tgの治療群は非治療群に対して、有意に運動機能障害の改善効果を認めた。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるsodium butyrateをTgに投与し、sodiumbutyrate水溶液4g/lの経口投与で、運動機能障害の改善効果を得た。より低い濃度(2g/l)や高い濃度(16g/l)では治療効果は乏しく、そのtherapeutic windowが極めて狭いことが示された。また、シャペロン依存性ユビキチンリガーゼを高発現するトランスジェニックマウスを作成し、13系統を得て、Tgとのダブルトランスジェニックマウスを作成しつつあり、今後シャペロン依存性ユビキチンリガーゼ高発現の効果を検討する。消化性潰瘍の薬剤であるgeranylgeranylacetone(GGA)には、マウスや細胞レベルで分子シャペロンの発現を増加させる作用が確認されており、GGAもTgに投与すると、運動機能障害の改善効果がみられた。
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Research Products
(4 results)