2004 Fiscal Year Annual Research Report
カンピロバクター腸炎後ギラン・バレー症候群の発症機構:細菌側要因の分子
Project/Area Number |
16390254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
結城 伸泰 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (60285913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 道明 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80199702)
小島 直也 東海大学, 工学部, 助教授 (30183338)
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Keywords | ギラン・バレー症候群 / Campylobacter jejuni / 遺伝子多型 / リポオリゴ糖 / ガングリオシド / 分子相同性 |
Research Abstract |
ギラン・バレー症候群(GBS)の原因病原体としてグラム陰性桿菌Campylobacter jejuniが最も高頻度である。C.jejuni腸炎後GBSの発症機序として、菌体リポオリゴ糖(LOS)上にガングリオシド様構造が存在することで患者血中に抗ガングリオシド抗体が誘導され、末梢神経に発現しているガングリオシドと結合し末梢神経障害をきたすと想定されている。本研究では、ガングリオシド様LOS合成酵素遺伝子であるcst-IIの多型(Asn/Thr 51)を調べ、ガングリオシド様LOSやGBS患者の臨床像との関連を検討した。 GBSおよびその関連疾患の患者糞便より分離されたC.jejuni 105株を培養し、ウエスタン・ブロットおよびTLC免疫染色でLOS上のガングリオシド・エピトープ分布の測定を行った。さらに、PCR・ダイレクトシークエンシングにてcst-II(876bp)の塩基配列を決定した。cst-II遺伝子は89株で検出され、cst-II(Asn-51)株はGQ1b様LOSを、cst-II(Thr-51)株はGM1やGDla様LOSを高頻度に発現していた。cst-II(Asn-51)株が分離された症例ではIgG抗GQ1b抗体の、cst-II(Thr-51)株の症例ではGM1やGDlaに対するIgG抗体の陽性率が高かった。さらに、cst-II(Asn-51)株は、眼筋麻痺などの脳神経麻痺や運動失調と密接に関連している一方、cst-II(Thr-51)株が分離されたほぼ全症例で四肢麻痺をきたしていた。GBS分離株の多くはcst-II(Thr-51)型であったのに対し、外眼筋麻痺を主徴とするGBSの亜型フィッシャー症候群の分離株の多くはcst-II(Asn-51)型であった。 以上から、先行感染病原体C.jejuniの遺伝子多型により、菌体上のガングリオシド様LOSの構造が決まり、GBSの臨床像の多様性を規定していることが示唆された。自己免疫病の特性規定因子として、先行感染病原体の遺伝子多型を証明した研究報告は他になく、自己免疫病の発症機構に新しいパラダイムが形成されることが期待される。
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Research Products
(18 results)