2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390269
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308)
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
|
Keywords | 甲状腺ホルモン / 甲状腺ホルモン受容体 / P13K / Akt / PKB / GSK3β / FOXO / BAD |
Research Abstract |
甲状腺ホルモンにより活性化されるPI3K→Aktシグナリングカスケードの神経系における役割 我々は、T3が核外に存在するTRと結合し、この複合体がp85αと結合することによりPI3Kを活性化し、その下流のAkt→mTOR→p70S6Kからなるキナーゼカスケードを活性化することを平成16年度までの研究において明らかにしてきた。この燐酸化キナーゼカスケードは、中枢神経における軸索の伸展、シナプス形成に重要な役割を果たしていると考えられているため、神経細胞株を用いT3の作用を検討した。TRを全く発現しない神経細胞株Neuro2a(N2a)とそれにTRαを恒常的に発現するようにtransformした神経細胞株N2a/TRαを用いて実験を行った。T3の添加により、N2aではPI3Kの活性化が認められず、N2a/TRαにおいては認められた。神経細胞では、PI3Kの下流の基質としてAkt、GSK3βや、転写因子FOXO1、FOXO3、アポトーシス関連蛋白Badなどが知られている。N2a/TRaにおいてはT3添加後速やかにこれらの基質が燐酸化された。T3によるこれら基質の燐酸化はPI3Kインヒビターのwortmanninにより阻害され、PI3Kの活性化がT3作用の開始点であることが確かめられた。更に、N2a/TRαでは血清除去後によりAkt、GSK3β、Badなどの脱燐酸化が認められるが、T3の存在により燐酸化状態が維持された。血清を含まずN2 supplementを添加した培養液に3日間にわたりT3を添加すると、Akt、Badの燐酸化が維持され、TUNEL陽性細胞の著しい減少が認められた。更に、neurofilament陽性の神経突起の伸展が5日間のT3添加により認められた。以上、神経細胞において甲状腺ホルモンがPI3K→Akt/PKBとその下流のキナーゼ群の燐酸化を介して、アポトーシス抑制と分化に重要な役割を果たしていることが明らかにされた。
|
Research Products
(7 results)