2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作による非造血系組織の脱分化及び可塑性獲得と造血系への分化転換
Project/Area Number |
16390281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 晃啓 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10264293)
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 講師 (20311938)
松下 卓 自治医科大学, 医学部, 助手 (20343444)
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Keywords | 脱分化 / 分化転換 / 可塑性 / Msx1 / AAVベクター / 骨格筋 / 造血系 / 幹細胞 |
Research Abstract |
本研究では、遺伝子操作による人為的分化転換の可能性、特に、非造血系組織が造血系へ分化転換することが可能かどうかを探った。具体的には、筋細胞を脱分化させる作用のあるMsx1遺伝子を、AAVベクターを用いてマウス骨格筋で一過性に発現させ、そこに出現する単核細胞が造血系への分化能を有するかどうかを調べた。AAVベクターで導入した遺伝子は、その殆どがエピソームの形で存在するため、筋細胞がMsx1の働きにより脱分化して増殖するようになると、Msx1遺伝子は次第に失われ、細胞は再び分化を始めるという想定に基づくものである。具体的には、1型あるいは5型の血清型のAAVベクターを作製し、搭載する遺伝子は、脱分化誘導用がマウスMsx1遺伝子、コントロールベクター用がマウスエリスロポエチン(Epo)遺伝子とした。マウス前脛骨筋にAAV-Msx1あるいはAAV-Epoを注射し、同部位および無処置の骨格筋より経時的に単核細胞を分離し、フローサイトメトリー解析・in vitroコロニー形成実験を行った。その結果、Msx1遺伝子を発現させた骨格筋内に、造血系マーカーを持った単核細胞が出現し、その中の造血前駆細胞が有意に増加していることが判明した。また、そのような単核細胞の中に造血幹細胞レベルの細胞が存在することが、in vivo造血系再構築実験により示された。このように、脱分化誘導遺伝子により一旦運命づけられた分化の方向性を解除することが可能となれば、新たな幹細胞のソースを生み出すことができるものと期待される。
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Research Products
(10 results)