2005 Fiscal Year Annual Research Report
新発見アトピー性皮膚炎マウスの疾患モデル化と責任遺伝子のポジショナルクローニング
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16390292
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
松島 芳文 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (10094955)
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Keywords | 自然発症 / アトピー性皮膚炎 / IgE / 掻痒行動 / 日本産野生マウス / 疾患モデル / マスト細胞 / コンジェニックマウス |
Research Abstract |
近年我が国では小児アトピー性皮膚炎患者の著しい増加と難治化、成人化等が大きな社会問題となっている。これらの要因として、生活習慣の変化、アトピー性皮膚炎の発症機序が未だに明確でないこと、ステロイド外用薬に対する忌避と民間療法の濫用などが考えられる。また一方ではアトピー性皮膚炎の適切なモデル動物が少ないことも影響している。申請者はこのような背景において、日本産野生マウスから作出した近交系マウスKORの中にヒトのアトピー性皮膚炎によく似た症状を自然発症する個体を発見し、本変異マウスをNAD(Nippon Atopic Dermatitis)マウスと命名した。 NADマウスの初期病変は生後4-5週齢時に眼瞼の浮腫として認められ、その後浮腫は口唇と顔面全体におよび、同時に前肢による掻痒行動によって増悪する重度の湿疹と脱毛が顔面全体と首、前肢屈曲側に広がった。これらの症状はヒトのアトピー性皮膚炎に酷似していた。 病理所見は、表皮の剥離・真皮の肥厚・マスト細胞・リンパ球等の浸潤が認められた。8週齢時の血中IgE値は対照のKORマウスは雌雄ともに0.1μg/ml程度であるのに対してNADマウスは高IgE血症を呈し、雌5,200μg/ml、雄2,400μg/mlと雌の方がかなり高値であった。 アトピー性皮膚炎原因遺伝子nadの染色体マッピングは、NADマウスとBALB/cマウスとを交配してF1を得え、さらにF1同士を交配してF2個体約1,000匹を作出し、アトピー性皮膚炎発症の有無を皮膚症状および血中IgE値により表現型を判定した。次いで腎臓からDNAを調整し、マイクロサテライトマーカーを用いた連鎖解析により原因遺伝子の染色体マッピングを行った。その結果、原因遺伝子nadはマウス第10染色体上のD10mit53の極近傍にあることを明らかにし、候補遺伝子を7に絞り込んだ。 今後は作出途上のnad遺伝子をTh2優位系、BALB/cマウスおよびTh1優位系、C57BL/6マウスなどのラボラトリーマウスに導入したコンジェニックマウスの完成とnad遺伝子のポジショナルクローニングを目指す。 なお、平成14年9月にNADマウスの特許出願を行った(特願2002-273447)
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