2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスによる小児アレルギー疾患の病態へのアプローチ
Project/Area Number |
16390295
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
森川 昭廣 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40125878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 浩一 群馬大学, 医学部, 講師 (50272232)
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Keywords | アレルギー疾患 / ヘルパーT細胞 / サイトカイン / 遺伝子 / DNAメチル化修飾 / 遺伝子発現抑制 / 臍帯血 / 単球 |
Research Abstract |
アレルギー性疾患では、Th1/2バランスがTh2へと偏向していると考えられている。このTh細胞分化機構破綻の原因解明のアプローチとして、サイトカイン遺伝子のDNAメチル化修飾の異常がその病態に関与している可能性を想定し研究を行った。 本年度は臍帯血、アレルギー疾患群、健常群から採取、抽出した単球において、Th1サイトカインであるIL-12のサブユニット、IL12p35遺伝子のプロモーター領域のメチル化解析を行った。またアレルギー群およびコントロール群より精製した単球を培養刺激して培養上清中のIL12p70および単球でのIL12p35mRNAの発現を測定した。 DNAメチル化解析はBisulphite Sequenncing Analysis法にてIL-12p35遺伝子プロモーター領域(-1〜-6010)の一部(-89〜-583)に含まれるCpG配列37箇所のDNAメチル化の頻度について検討した。 その結果-388、-385、-375、-352、-331、-326、-322の7ヶ所のCpGにおいて3群間のメチル化の頻度に有意差を認めた。メチル化はコントロール群において有意に頻度が高かった。一方アレルギー群、臍帯血でのメチル化は有意に頻度が低く、またアレルギー群、臍帯血間でメチル化の頻度、パターンに有意差を認めなかった。mRNAの発現はアレルギー群、コントロール群のいずれでも刺激-非刺激群間で有意差を認めなかった。しかしメチル化の頻度が低く、メチル化による遺伝子発現の抑制を受けていないアレルギー群でIL12p35mRNAの発現が高い傾向にあった。培養上清中のIL12p70はmultiplex bead-based cytokine assay法では測定感度以下のものが多く検討できなかった。 以上より単球IL-12p35遺伝子プロモーター領域におけるDNAメチル化は、臍帯血およびアレルギー疾患では健常コントロールに比べ有意に低く、このことがIL-12p35の遺伝子発現制御に関連していることが示された。
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