2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域における亜急性硬化性全脳炎の疾患感受性遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
16390304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
楠原 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20243941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70304805)
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 医員
原 寿郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40150445)
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80192318)
市山 高志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20263767)
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Keywords | 亜急性硬化性全脳炎 / 疾患感受性 / 遺伝子 / SSPE / アジア / マイクロアレイ / 宿主 / 麻疹 |
Research Abstract |
1)亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の疾患感受性候補遺伝子の検討 SSPEにおける、免疫系での麻疹ウイルス(MV)の持続感染の分子メカニズムを検討するために、約3万個の遺伝子に対応した高密度オリゴPNAマイクロアレイを用いて、SSPE患者と正常対照の末梢血単核球における遺伝子発現パターンを網羅的に比較した。その結果、患者における発現が正常対照より有意に低い遺伝子としてgranulysin遺伝子(GNLY)を見出した。定量的RT-PCRでは、SSPE患者においてGNLYの2つのisoformの発現レベルが正常対照より低い傾向がみられた。一方、麻疹患者では正常対照より上昇していた。関連解析ではGNLY-189G/Tおよび4214G/Cの遺伝子型およびアリル頻度にはSSPE患者40例と正常対照124名の間に有意差はみられなかった。以上より、granulysinがMVに対する宿主免疫の一部を担っておりSSPEの発症や病態生理に関与している可能性が示唆された。一方、既に日本人においてSSPEとの関連を報告した3つの遺伝子多型(IL-4 -589C/T、MxA -88G/T、IRF-1 GT repeat polymorphism)について、フィリピン人の検体(SSPE60名、正常対照120名)を対象に関連解析を行ったが、有意の関連はみられなかった。 2)SSPEの病態解析と新規治療法の開発 持続感染の免疫病態を解明するため、SSPE患者の血清IL-6およびIFN-γを測定したところ、ウイルスの活動期を示すIL-6の上昇がみられる児においても抗ウイルス作用を示すIFN-γの上昇はほとんどみられなかった。リバビリン脳室内投与療法を施行した10例において、安全性と有効性を検討したところ、重大な副反応はなく、Jabbour II期に治療を開始した症例では臨床症状に明らかな改善がみられた。
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Research Products
(4 results)