2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア遺伝子異常に由来する病態の分子病理学的・生化学的研究
Project/Area Number |
16390309
|
Research Institution | National Institute of Neuroscience, National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
後藤 雄一 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第二部, 部長 (20225668)
|
Keywords | ミトコンドリアDNA / 単一欠失 / Kearns-Sayre症候群 / ミトコンドリア病 / ミトコンドリアDNA欠乏 / チトクロームc酸化酵素 / POLG |
Research Abstract |
1.ミトコンドリアDNA単一欠失例の臨床症例の報告 ミトコンドリアDNA欠失を有し、著明なグリコーゲン蓄積を心筋に認めた症例を報告した。また、ミトコンドリアDNA欠失例136例について、欠失の種類と頻度、臨床病型、発症年齢について検討し、欠失が長いこと、COXサブユニットを含む変異であること、発症年齢、が全身性の病態であるKearns-Sayre症候群のリスクファクターであることが判明した。 2.ミトコンドリアDNA欠乏症候群(MDS)の検討 1999年〜2004年に国立精神・神経センター筋レポジトリーに登録されたミトコンドリア病疑いの383例を対象に、MDS例の発見を目的に、mtDNA量のスクリーニング、既知核遺伝子の解析を行った。平均mtDNA量が25%以下の症例が37例見いだされ、そのうち1歳未満発症もしくは重度のミトコンドリア機能異常であるcytochrome c oxidaseのびまん性の欠損を示す12例について、POLG、TK2、dGK、TFAM、PEO1、ECGF1、SUCLA2の7種類の核遺伝子の塩基配列を決定した。結果は、いずれの遺伝子にも病因となりうる変異は見いだせなかった。解析例の幅を広げることで核遺伝子変異を有する症例の発見が得られると考えられ、また未知の各遺伝子による症例の存在が示唆された。 3.ミトコンドリアDNA全周シークエンスと新たな点変異例の発見 すでに病因の可能性があると報告されていた5874変異、14459変異、10197変異を有する症例を同定した。また、病因の可能性のある新しい変異として、617変異、8296変異、12129変異、14729変異などのtRNA領域の変異、3481変異、5698変異、6890変異、7444変異、8114変異、9035変異、9801変異などのタンパクサブユニット変異が見いだされたが、病因の確定には至っていない。
|
Research Products
(12 results)