2005 Fiscal Year Annual Research Report
タウ病理の形成に果たす遺伝子多型の役割に関する細胞・病理学的研究
Project/Area Number |
16390323
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
保田 稔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50359866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 潔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116251)
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
山本 泰司 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00324921)
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Keywords | 前頭側頭型痴呆 / 遺伝子変異 / ハプロタイプ / タウ |
Research Abstract |
染色体17番に連鎖し徴候・症状として前頭側頭型痴呆とパーキンソニズムを伴う家族性痴呆症であるfrontotemporal dementia and parkinsonism linked to chromosome 17(FTDP-17)家系におけるタウ遺伝子変異を3種類4家系発見した。その中で、P301S変異をもつ本邦家系FTD-Yamaguchiの3世代13人(うち発症者6人)の臨床像を検討し、発症者3名の病理学的研究をおこなった。その結果、この家系では病初期にパーキンソニズム優勢で認知機能障害が後発する症例が多数を占めており、パーキンソニズムだけで長期経過した症例もあった。病理学的には黒質、線条体、視床下核などの基底核の変性が優勢で前頭葉、側頭葉の変性がこれにつづき、ミクロ所見では神経細胞変性、空胞変性、アストロサイトによる線維化が認められた。また、沈着したタウ蛋白が形成するPick bodyと呼ばれる特異な細胞内封入体の生化学的特徴について明らかにした。われわれが過去に報告したタウ遺伝子P301S変異をもつ症例(FTD-Kobe)でもパーキンソニズム優位の臨床像を呈しており、病初期に認知機能障害が目立たない場合、家族性パーキンソン病との鑑別が問題になると考えられる。P301S家系のH1 haplotypeの頻度は、H1/H1 genotype5例(71%)、H1/H2 genotype2例(29%)であり、発症年齢や初発症状(痴呆かパーキンソン症状か)と遺伝子型との関連はなかった。
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Research Products
(6 results)