2005 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶ポリフェノールによる分離膵島の保存および移植後の生着率向上効果の検討
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16390362
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
瓜生原 健嗣 京都府立医科大学, 医学部, 講師(寄附講座) (00372582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (70359834)
玄 丞烋 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (90283655)
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Keywords | 膵島移植 / 緑茶ポリフェノール / Epigallocatechin gallate / 心停止ドナー / 凍結保存 / 生体ドナー膵島移植 |
Research Abstract |
インスリン依存状態糖尿病の治療として、インスリン分泌細胞の集団である膵島を膵臓から分離し移植する膵島移植が実施されている。特に2000年にカナダのグループが発表したエドモントンプロトコール以降、安全性および効果が高い治療法として世界的に症例数が増加している。 我が国では、京都大学移植外科の膵島移植チームにより2004年に、初めての心停止ドナーからの臨床膵島移植を開始した。一方、膵島移植の課題として、移植膵島の生着率を上げること、移植前の保存を可能とすること、長期の膵島の生存率を改善することが挙げられる。 この研究の目的は緑茶ポリフェノールの安全性および効果を動物実験で確認後、臨床の膵島移植へと応用することである。動物実験として、ブタ及びマウスの膵島保存に対するポリフェノールおよびその主成分であるEpigallocatechin gallate(EGCg)の保存効果および安全性を糖尿病マウスへの移植モデルにて確認する。 2004年以降、京都大学移植外科において17例の心停止ドナーからの臨床膵島移植を8名の1型糖尿病患者へ実施した。移植膵島は全例において機能し、患者の血糖値は全例で安定した。さらに、膵島移植に関する重篤な合併症もなく、欧米での膵島移植の再現が可能であった。 一方、EGCgは分離膵島において保存時間を延長させることを証明した。また、凍結保存時にEGCgを添加することで、解凍後の膵島のviabilityが改善されることが証明された。我が国では、現時点では膵島を即時に移植しない場合には凍結保存をすることになっており、凍結保存膵島機能改善効果は臨床応用が期待される。また、EGCgの安全性に関しては、高濃度になるとH2O2を産生し細胞毒性が生じるために、適切な濃度が重要であることが判明した。適切な濃度および効果が明らかになり、臨床応用が可能となった。
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