2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御におけるABCタンパク質の意義と肝臓外科への応用に関する研究
Project/Area Number |
16390371
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 雄造 秋田大学, 医学部, 教授 (70281730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 聡 秋田大学, 医学部, 講師 (40333934)
久米 真 秋田大学, 医学部, 助手 (00372326)
吉岡 政人 秋田大学, 医学部, 医員 (40375275)
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Keywords | ABCタンパク質 / K-ATPチャンネル / 肝虚血再灌流障害 / プレコンディショニング |
Research Abstract |
本研究は肝虚血再灌流障害の軽減を図るため、肝臓におけるABCタンパク質の生体防御機構への役割を解明することを目的に開始した。特にイオンの流れを制御することで細胞防御に寄与しているATP感受性カリウムチャンネル(K-ATP)を中心に研究した。心筋ではK-ATPによる細胞防御機構が広く研究されているが、肝臓ではその存在と役割に関し未研究である。 第一年目では肝臓にK-ATPが存在するか、またどの細胞に存在するのかを検索した。K-ATPはKir6.xとSUR1or2のcomplexとして存在するが、mRNAとタンパク発現を検索した結果、Kir6.1/SUR2B complexが存在することを見いだした。これは内皮細胞に発現していると考えられる。肝細胞にはmRNAレベルでKir6.1,6.2およびSUR1,2A,2Bのいずれも発現を認めたものの、タンパク発現はKir6.1,6.2のみでありregulatorであるSURの発現は確認できなかった。その存在を裏付けるため、channel openerやblockerを用いたpreconditioningを施した後、虚血再灌流を行いmRNAの変化を検索した結果、blockerによりSUR1のmRNAが抑制されたことから、肝内にSUR1を持つ細胞の存在が証明された。 今年度はK-ATPと細胞保護機能に焦点を置いた。HSPとの関連を検討するため、heat shock下でのK-ATP変化を検索したが関連性は無かった。次に虚血再灌流時に生じる低酸素という点に着目した。我々はin vitroで継代培養可能な肝幹細胞(肝上皮性細胞)を分離することに成功した。本細胞は非常に強い低酸素耐性能を保持していたため、K-ATPの発現を検索したが存在せず、肝幹細胞における低酸素耐性能はK-ATPによるものでは無いことが判明した。最後に肝内の内皮細胞K-ATPの役割を解明しようとしたが、虚血再灌流時には内皮細胞で炎症性サイトカイン等が産生されるため、これらを除去する必要があると考えた。そこで炎症関連因子の働きを遺伝子導入によってblockできないかと考え、nakedなoligonucleotideを経門脈的に注入した結果、内皮細胞に取込まれることを証明した。今後この新たに開発した遺伝子導入法を用い内皮細胞のK-ATPの働きを解明する必要がある。
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Research Products
(5 results)