2004 Fiscal Year Annual Research Report
COX-2選択阻害剤を用いた各種固形癌に対する新しい化学療法の開発
Project/Area Number |
16390374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 健一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10171167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 雅之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60301165)
樋口 哲郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (90334416)
植竹 宏之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (60311651)
角崎 秀文 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (60372447)
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Keywords | 大腸癌 / 血行性転移 / COX2 / COX2阻害剤 / 血管鋳型 |
Research Abstract |
ラット大腸癌微小肺転移における血管構造および,選択的COX-2阻害剤であるJTE-522の肺転移への影響を実体顕微鏡および走査電子顕微鏡を用いて研究した.<方法>ラットを用い正常肺組、肺転移巣における血管構造を調べた.また、選択的COX-2阻害剤JTE-522の肺転移巣における作用を調べた.JTE-522の投与量により3群(各グループn=5)(G1:0mg/kg/day, G2:10mg/kg/day, G3:30mg/kg/day)に分けた.動物:4週令雄性F344ラットを用いラット大腸癌高肝肺転移細胞株RCN-9を尾静脈から注入して、肺転移を作成した。JTE-522は腫瘍細胞注入前日より,実験終了まで連日強制経口投与した.血管鋳型の作製方法:腫瘍細胞注入3週間後にレジン,メルコックス,メチルメタクリレートを混合した鋳型剤20ccを注入し、血管鋳型を作製した.走査電子顕微鏡、実体顕微鏡にて肺転移層を観察した。<結果>ラット肺転移巣における微小血管構造:大きさ320μm以上の転移35個の腫瘍血管の太さは18-120μmであり,腫瘍径と腫瘍血管径の有意な相関関係を認めた(p<0.0001).また,実体顕微鏡観察では腫瘍血管は主に肺動脈と交通していた。肺転移に対するCOX-2阻害剤の影響:JTE-522は用量依存性に転移巣の成長を抑制し(p=0.038),かつ転移個数も減少させていた(p=0.042).JTE-522の作用に関する多変量解析:腫瘍血管径のみがJTE-522によって独立して影響を受ける因子であった(p<0.0001)。<考察>本研究では320μm以上の転移巣では腫瘍血管が存在していたが,それ未満の転移巣には新生血管は存在しなかった.JTE-522は有意に転移個数や転移巣の大きさを抑制していたが,とりわけ,腫瘍血管径の成長が有意に抑制されていた.また、腫瘍の血管構築にもJTE-522が作用していた.選択的COX-2阻害薬であるJTE-522が,大腸癌血行性転移における治療薬となりうる可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)